【AFP=時事】世界保健機関(WHO)はこのほど、「強迫的性行動症(Compulsive sexual behaviour disorder、CSBD)」を精神疾患と認めた。しかし関係者は14日、ギャンブルや薬物に対するものと同様の依存症かどうかについては、まだ判断が出ていないと述べた。
「セックス依存症」という言葉は議論を引き起こしつつ数十年にわたって使われてきたが、こうした症状が実在するかどうかをめぐっては専門家の間で意見が分かれていた。WHOは先月発行した「国際疾病分類(ICD)」最新版でCSBDを精神疾患として記載し、「セックス依存症」という概念を正式に認めることに向けて一歩を踏み出した。
WHOはICDの中で、CSBDを「反復性のある強い性的な衝動や衝迫を制御できないパターンが持続する特徴があり……個人的、家族的、社会的、教育的、職業的、その他の重要分野で活動する上で著しい有害ストレスや障害を引き起こす」と説明している。ただし「CSBDが行動嗜癖(しへき)(訳注 いったん始めると自己制御できない行為)の発現にあたるかどうか」については、科学的な議論がまだ続いているという。
WHOのメンタルヘルスの専門家ジェフリー・リード(Geoffrey Reed)氏は14日、AFPに対し、診断や医療保険の基準として広く活用されているICDにCSBDの簡潔が定義が盛り込まれたことは、患者が確実に支援を受けられるようにする上で意義のあることだと述べた。
患者数は依然として不明だが、ICDに記載されたことでCSBDやその患者数について研究が進み、最も効果がある治療法の特定にもつながるとみられる。
セクハラ告発運動「#MeToo(私も)」が世界各地に広がるにつれて、告発を受けた側が自分は「セックス依存症」だと主張する例も目立つようになってきているが、リード氏は次のように述べて、CSBDが犯罪行為の免責事由になるのではないかと心配する必要はないとの考えを示した。
「アルコール依存症の患者なら酒酔い運転をしても仕方がない、ということがないのと同じように、(CSBDは)性的虐待や性的暴行の言い訳にはならない。自分自身が決めて行動したことに変わりはない」