シクレスト舌下錠

シクレスト舌下錠
明治
統合失調症の薬
通常、成人はアセナピンとして1回5mgを1日2回舌下服用から服用を開始する。なお、維持用量は1回5mgを1日2回、最高用量は1回10mgを1日2回までとするが、年齢、症状に応じ適宜増減すること。
注意:本剤の舌下服用後10分間は飲食を避けること
ドーパミンとセロトニンという2つの神経伝達物質をおさえることです。2つをおさえることで、統合失調症の陽性症状(幻覚、妄想、興奮)と陰性症状(無感情、意欲低下、自閉)の両方によい効果を発揮します。
脳内のドパミン2(D2)受容体を遮断することで、ドーパミン神経系の機能亢進により起こる陽性症状をおさえます。また、セロトニン2(5-HT2A)受容体を遮断することで、ドーパミン神経系の働きがよくなり、陰性症状が改善します。逆に、セロトニン1(5-HT1A)受容体に対しては刺激的に作用し、陰性症状、認知機能、うつ・不安症状の改善にかかわると推測されています。そのほかにも、いろいろな受容体に作用することから、多受容体作動薬(MARTA:Multiacting Receptor Targeted Antipsychotic)に分類されることがあります。
抗ドーパミン作用と抗セロトニン作用をあわせもつ新しいタイプの非定型抗精神病薬(第2世代抗精神病薬)です。抗ドーパミン作用を主とする旧来の定型抗精神病薬が陽性症状をターゲットとするのに対し、この薬は陽性症状と陰性症状の両方に有効です。
5-HT1A受容体に刺激作用をもつなど、一般的な非定型抗精神病薬と受容体結合性が違うところがあります。この特性により、陽性症状・陰性症状にくわえ、認知機能、随伴症状の不安やうつに対する効果も期待できます。また、錐体外路障害、高プロラクチン血症、体重増加などの副作用が軽減されます。糖尿病がある人も注意深く用いることができます。
開始用量が推奨用量と同一なので、漸増の必要がありません。治療早期から有効用量を服用できるわけです。口粘膜から速やかに吸収される速崩性の舌下錠になります。