ブラジャー

去年の12月はクリスマス前、なんとなくブラジャーを新調しにいった。
めったにいかない渋谷のマルキュー、なんか棒みたいな女の子が立派なつけまつげを携えてわっしわっし歩いているのでやっぱ渋谷はすごいなあと思った記憶がある。
それまではユニクロのなんかキャミソールと一体化になってるやつばっかり使っていたのでサイズとかいう問題ではなく、自分のサイズを知らなくてなんかBくらいだろと思っていた。
で、クリスマス目前のマルキューでブラを試着するわけだが、とりあえずBカップを持って、アドバイザーである店員さんに試着を見てもらうことにした。
「うーん、ちょっとちいさいですかね、もっと大きいの持ってくるんで待っててくださいね」
お姉さんが持ってきたのはなんとEカップサイズだった。
Eカップのブラジャーに胸の肉を押し込み、胸がお尻みたいになる様子を黙って見ていたのだが、本当にたった5分でBカップからEカップの人になってしまった。
困惑したのはどちらかというと私の方である。
まあ、大きければいいってもんじゃないのは重々承知の上だが、
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昨日の私→Bカップ
今日の私→Eカップ
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こんなバカみたいなことってあるんだろうか。
マルキューから出ると、わけわかんないんだけど、なぜか世界が3トーンくらい明るくキラキラとして見える。
その日からしばらくは、落ち込むことがあっても、(私はダメでも、私のおっぱいはEカップだからダメじゃない)と謎の励ましを自分に投げかけるようになっていた。
で、こないだ別の、もっと高い下着ブランドで新調することがあった。
そこはもう、1時間以上かけて自分にあったものを試着しながら選んでくれるお店なのだが、なんかもう漁だった。
つまりこうである。
腹の肉も、脇の肉も、背中の肉も絶対に逃さない。
両足を踏ん張った被験者に対し、ブラジャーのプロがブラジャーを両手で広げてつかんで、体の肉を集めるように力強く着ける。これはスポーツにも近い。そのくらいの運動量である。
額に汗をキラリとさせながら、散らばった肉を執拗に追いかけパッドの中に押し込むお姉さんの様子は、もはや漁師。
(ああ、これは、漁なんだ・・・網漁なんだ・・・)