電波望遠鏡で得られたデータに「色を付ける」作業について

──先ほど、電波は私たちの目に見えないので、どういう色を持っているかわからない、と伺いました。でも、プレスリリースなどで公開されている画像には、きれいな色が付いていますよね。あれは、どのように色付けしているのですか?
永井:じつは色付けに、ルールのようなものは特にないんですね。可視化するソフトウェアが用いている、標準的な色の当て方というのがあるのですが、基本的にはそれにならっているだけです。
 
──そうなのですか。標準的な色の当て方というのは、目に見える光と同じように、電波の波長が長いものは赤っぽい色を付けて、逆に電波の波長が短いものは青っぽい色を付ける、というものですか?
永井:波長の違いで色分けをすることは、そんなに多くありませんね。「レインボーカラー」という色付けをよくおこないますが、これは電波の波長の違いではなく、電波の強度の違いで色分けをしています。電波が強いほど赤く、弱いほど紫色になるような色付けです。
 
──研究者は見た目の色をあまり気にしない、ということでしょうか?
永井:ええ。研究者は電波の強度の違いを見たい場合が多いので、見栄えはそんなに気にせずに、強度の差がちゃんとわかるように、レインボーカラーをよく使います。ただ私たち解析チームが作る画像というのは、使う研究者が何色にでも色付けできるようなデータ形式になっています。
 
──一般の方に向けたプレスリリース用の画像は、それとはまた別の色付けをしているのですか?
永井:そうですね。プレスリリース用の場合は、もう少し見栄えを意識したものにすることが多いですね。
 永井洋 (国立天文台チリ観測所 特任准教授)