刺激・反応の学習理論 メモ

神経系はもともと刺激と反応で成立しているものである
だから自動思考は精密に言えば自動ではなく刺激に対する反応である場合が圧倒的に多いと思う
ここで学習理論の話になる
また、「目覚まし時計が午前6時になると自動的に鳴り出すように自動反応が起こる」という場合も
あるのだろうとは思うけれども、さて、どうだろうか
統合失調症などは内因性精神病と言われ、内因性とは
生物学的な理由であるが未だ原因不明で、目覚まし時計が午前6時になると自動的に鳴り出すように症状が始まるものと
言われていた
例えば性的成熟
これは外界からの刺激が何もなくても身体内部での成熟が自動的に体を作り変える反応だろう
そこまでは刺激反応系の話ではない
準備の話である
そして性行動は、生体側の成熟が準備されて、そこに外界からの刺激があって、反応が生まれる
例えばてんかん発作
放電発生のエネルギーがある程度蓄積されて
何かの刺激に応じて一斉に放出される
性的行動もてんかんも「内側の準備」+「外からの刺激」というパターンで考えることができる
不安性障害の系統は
どれも「刺激に対する誤った不適切な強い学習」があり
それが症状として観察される
PTSDやパニック障害は典型である
だから、一旦形成された「刺激に対する誤った不適切な強い連結の神経回路」を
解除することが治療になる
しかし実際はそれは簡単ではない
強迫性障害は、特に強迫性思考の場合、外部からの刺激は要因としては少ないかもしれないとも考えられるが
しかし、完全に内発的に発生するはずもなく、
精密に観察すれば、やはり刺激に対する反応であると見ることができるはずである
このあたりは性行動やてんかん発作と類似と考えられる
この場合も強迫性思考の回路を訂正することが治療になるが
それは簡単ではない
強迫性思考は、ふと、自動思考として発生すると表現されることもあるが
生物はそのようなものではないと考えている
刺激に対する反応として見たほうが良い
精神病は脳症として考えられるもので根本的には
神経症の考えや学習理論は関係ないのであるが
統合失調症でも躁うつ病でもうつ病でも
それが発症して、そのあと世間を生きていくにあたっては、生体側は刺激に対して反応するわけで、
その時、反応主体がある種のズレを呈するわけだから、反応はずれてしまい
不適切な反応を訂正するために生体は学習を始める
するとその精神病を抱えたままで生きてゆくための「ほころびをなんとか繕う営み」として
特殊な反応を学習する
それが、その人の一種独特な思考とか行動とか、一般にいう症状として観察されるものの一部となる
ついでに言えば、うつ状態は、その一部は脳神経細胞が疲弊した場合の生体の反応と考えられる
したがって、統合失調症の陽性症状のあとのうつ状態、躁状態のあとのうつ状態は自然なものと考えられる
その点で、DSM5で、まず気分障害を検討し、それがあったら、気分障害の治療を開始するという態度は
大変問題があると思われる
気分変動は原発性ではなく、二次性のものと考えられるのに、気分障害を確認したら、
治療開始というのでは理屈に合わない
強い学習、つまり、容易には解除できない学習は、生物にとって必要である
生物の根本的な行動のパターンを形成するときに必要である
しかし何かの誤りで、「強い学習」が、間違った場面で働いてしまうことがある
例えば、生まれて初めて動くものを見たらそれを母親だと思うという強い学習の例がある
それは大切なことだ
しかしそれと同じような学習回路が
閉所での恐怖を学習したら永続的で強力なものになる
そこに介入するためには、学習を待っている神経細胞を用意することとか、
ホルモン系の関与とか、いくつかのヒントはあるように思う