国立成育医療研究センターの森崎 菜穂氏らが、わが国における1969年以降の出生特性と成人の平均身長の推移を調査したところ、20世紀は増加し続けていた成人の身長は1980年生まれから低下し始めていた。一方、低出生体重(LBW)での出生はU字型を示し、成人の身長の低下がLBW出生の増加に起因する可能性が示された。Journal of Epidemiology and Community Health誌オンライン版2017年8月19日号に掲載。
著者らは、1969~2014年の人口統計における6,411万5,249人の出生特性の長期的推移と、全国・地方・地域で実施された79の調査から、1969~96年に生まれた成人314万5,521人の平均身長の推移を観察した。
主な結果は以下のとおり。
・LBWの割合は1978~79年(5.5%)まで減少した後増加するU字型を示し、逆に、成人の平均身長はその同じ時期に生まれた人(男性:171.5cm、女性:158.5cm)でピークに達し、その後減少していた。
・LBWの割合と成人の身長は、強い逆相関を示した(男性:r=-0.98、女性:r=-0.88)。
・出生と経済的特性に基づく予測モデルによると、成人の身長の全国平均は低下し続け、2014年に生まれた人では、男性170.0cm(95%CI:169.6~170.3)、女性157.9cm(95%CI:157.5~158.3)になると予測された。