どこにも特別な場所なんてない

“僕が旅行で一番好きな瞬間は、旅の終わりに家に帰る途中、バスや電車の車窓からどこにでもあるような町の風景を見て、
「ここには何千何万の家庭があって、それぞれの人生があるけれど、みんな自分とは縁のないまま生きていくんだな。同じ日本に住んでるのに」
 という、少し寂しいような、すがすがしいような気持ちになるときかもしれない。
 僕がどこにでもあるような町を見るのが好きな理由は、多分確認して安心したいのだ。どこにも特別な場所なんてないということを。”