男性は83歳、女性は88歳まで生きるということね。
60歳の夫と2つ年下の妻がこの年齢まで生きると仮定して必要なお金を試算してもらいました。
まずは生活費です。
総務省の家計調査では高齢夫婦の無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上)で月約27万円になります。
夫が83歳で亡くなるまでの23年間で約7450万円、
残された妻1人分の生活費をそれまでの7割として、88歳で亡くなるまでの7年間は約1600万円、
合わせて約9050万円です。
公的年金の受取額は夫が会社員、妻が専業主婦という厚生労働省のモデル世帯でみれば、
夫婦で現在月約23万円です。
夫が65歳からもらい始め、
夫の死後は妻が遺族厚生年金(夫の老齢厚生年金の4分の3)をもらうと、
夫婦の年金総額は約6000万円です。
老齢基礎年金だけの自営業の人などはこれより少なくなります。
すると、差し引きで3000万円ほど足りないというわけね。
不足分は預金や退職金を充てたり、60歳以降も働き続けて収入を得たり、
というのが現実的な手段です
介護が必要になったり、病気になったりすれば別途お金がかかります
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一方、別の記事では、
「ゆとりある老後」に必要な資金は、1億1856万円
2010年度の総務省・家計調査報告によると、夫65歳以上、妻60歳以上の高齢無職世帯の夫婦の1カ月の平均支出が26万4948円。対する収入は22万3757円。毎月4万1191円の赤字である(図1)。
この生活で夫婦ともに90歳まで生きると仮定して、60歳以降、年金以外に必要なお金は約3000万円だ(図2)。ところがこの平均的な支出では、旅行やレジャー、趣味を楽しむゆとりのある生活はできないと多くの人は考えている。
図3ゆとりある生活費は月平均36万6000円
10年度「生活保障に関する調査」(生命保険文化センター)によれば、夫婦で老後にゆとりある生活を送るには36万6000円の収入が欲しいという(図3)。その場合、30年間で必要な額は約6700万円にも膨れ上がる(図4)。
とはいえリタイヤ直後の65歳と、20年後の85歳では生活の仕方も変わるはずだから、生涯にわたって毎月36万6000円使うというわけではない。老後のお金に詳しい経営コンサルタントの岩崎日出俊氏は、こう試算している。
図4ゆとりある老後のためにいくら必要か
60歳まで生きた男性の平均寿命は82.84歳、女性は88.37歳まで生きるという統計(2010年簡易生命表)がある。余裕を持たせて夫87歳、妻92歳まで生きると仮定し、最低限の生活のためには月24万円、ややゆとりある生活のためには月30万円かかるとすると、最低限生活では1億776万円、ゆとり生活では1億1856万円確保しなければならない。しかし年金が7274万円支給されるので「不足分は最低限生活で3502万円、ゆとり生活で4582万円になります」。
退職金が平均1800万円から2000万円といわれているから、持ち家であれば最低1700万円で売却できれば老後の生活はなんとかなる。
が、ここで安心してはいけない。現役世代にのしかかる大問題がリタイヤ後の「無年金期間」である。再雇用で65歳まで働けたとしても、その後68~70歳まで年金が受け取れなくなる可能性が高まっているし、65歳まで働けるかどうかすら定かではない。
年金の支給開始年齢が65歳から70歳まで引き上げられた場合、損失は1380万円になる。大竹氏は、各調査の平均値を鵜呑みにするのではなく、それぞれが老後に必要なお金を計算してみることをすすめている。老後の生活費の目安は「現役時代の7割」と見積もり、無年金期間の年数は定年後に働く期間や年金支給開始年齢を勘案して適宜調整し、図2のように計算する。退職金などを差し引けば、貯蓄で準備するべき額を割り出せる。
では、この必要額をどうやって貯めるのか、誰にとっても頭が痛い問題だ。「豊かな老後のためには資産運用が必要です」と金融機関は盛んにPRしているが、信じていいのだろうか。
岩崎氏は「中高年はリスクを取らずに定期預金に預けておくべき。特にデフレ時代の今は、預金しておくだけで価値が高まります」と運用を否定する。
「金融機関では3%で運用した場合などと試算していますが、国債の利率が1%程度のときに3%で運用するのは厳しい。まして素人には無理です。日本株だって25年間下がり続けているのだから」
経済評論家の山崎元さんは「非課税で運用できるものを無駄なく活かす」ことを提案している。「例えば自営業なら確定拠出年金(401k)の個人型に入ると年間80万円以上を無税で積み立てることができます」。そのうえでリスクが取れるお金で運用を考えるのであれば「分散投資されたもの、手数料が低いものがよく、投資信託でいえば株価指数などに連動するインデックスファンドを買うのが現実的です」。
ただし、購入するときには金融機関に相談しないこと。「彼らは手数料が高い商品をすすめるはずです。例えば米国のハイイールド債券に投資して、ブラジルレアルで為替ヘッジをして、毎月分配金が200円出ますなどと、超ハイリスクな商品のメリットに見える部分のみ強調して誘導することが珍しくない。法令に触れない範囲で欺すくらいのことをプロはやりますよ。特に近年は、金融機関の“魔の手”が肉食化しています」。
そんな山崎さんがすすめるのは、(1)日本株インデックスファンド50%、(2)先進国の株式に投資するインデックスファンド25%、(3)新興国に投資するインデックスファンド25%という2対1対1のポートフォリオだ。
「これで期待利回りが5.5%くらいです。ただ、かなりまずい事態が起こったときは投資金額の3分の1が吹っ飛ぶことを覚悟してください。それでも長期的には預金より利回りがいいと思います」
このポートフォリオの意味が理解できなければ運用は危険だ。「そのときは金融機関に狙われないように個人向け国債10年ものを買うのも手ですね。10年間は“魔の手”から逃れられるし、変動金利だから将来の金利上昇にも、ある程度対応できます」。
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