世界初、エプソンが使用済み用紙の再生機を開発
オフィスで紙を3分で再生、2016年中に発売へ
セイコーエプソンは2015年12月1日、使用済み用紙を社内で再生できる機器「PaperLab(ペーパーラボ)」を発表した。使用済みのオフィス用紙を投入すると、約3分で新しい紙に再生させる世界で初めての機器だ。2016年中の販売を目指している。
ペーパーラボは「Advanced Paper Project」と呼ぶ社長直轄プロジェクトから出てきた製品だ。環境負荷の軽減意識が高まる中でメーカーとして何かできることはないか、かつインクジェットプリンターなど印刷機を製造してきた同社が今後も生き残っていく戦略的な製品が作れないか、を検討してきた中で開発された。
機密保持のために社内文書の一部を外部に委託して廃棄処理している企業や自治体は多い。ペーパーラボは機密文書を社内で再生できるため、外部に機密文書を出すリスクそのものをなくせる。まずはセキュリティ意識の高い金融機関や自治体での採用を見込んでいる。
同日に会見に臨んだセイコーエプソンの碓井稔社長は、「(機密文書だけでなく)一般的な用紙も対象にしていく。ペーパーラボで紙の使い方の概念を変えていきたい」と意気込みを語った。
ペーパーラボの開発を担当しているセイコーエプソンの市川和弘Aプロジェクト部長によると、水や薬品を使わないで再生するのが特徴だという。「詳しくは話せないが、紙に衝撃を与えて細かく砕いて繊維に戻し、圧力で成形する仕組みになっている」(市川部長)。
水も薬品も使わない、しかも安い
再生は開始から3分で完了し、1分当たり14枚の再生能力がある。さらに紙をリサイクルする際に、色紙にしたり、厚紙にしたり色や形状を変えることができる。パイロット運用をしているセイコーエプソン社内でのニーズをくみ取った結果だという。紙以外にも吸音材や吸収剤に再生するアイディアもあるという。
会見で配られたリリースや碓井社長の名刺はペーパーラボで再生した紙が使われていた。真っ白ではなく少しグレーがかった色味だが、オフィス用紙で使う分には違和感はない。紙が薄すぎるとか、インクがにじんでいるということもなかった。
価格や利用料金は未定だが、2016年の発売時点で1枚当たりの再生費用は新しい紙を買うよりも安く設定するとしている。機密文書を処理するには、まず処理業者に渡すまでの保管スペース費用および処理委託費用などが発生する。こうした直接的なコストに加え、外部に出す作業がなくなるリスク面や、機密文書の輸送時に出る二酸化炭素の削減といった環境面のメリットも得られる。
将来的には量産化によるコスト削減や小型化も狙っている。コスト低減と小型化が実現すればコピー機の横において、あらゆる用紙をすぐに再生利用できるようにする計画だ。「視認性など紙の有用性を残しながら、リスク低減や環境負荷低減に貢献できる」(市川部長)。
同社の試算では古紙再生の市場規模は国内外で3000億円。「3~5年で100億円の売り上げを目指す」と碓井社長は語る。この新市場を積極的に広げ、新たな収益の柱に育てていく考えだ。
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こんなことができるのか
すごいですね
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長野県諏訪市に本社を置く情報関連機器、精密機器メーカー「セイコーエプソン株式会社」のブランド名。
EPSON(エプソン)というブランド名の由来は「エレトリック プリンターズ サン(electric printer's son)」であり、直訳すると「電子プリンターの子供たち」となる。
腕時計のメカニズムに関する技術を応用して、1968年(昭和43年)に電子機器用の小型の電子プリンター「EP-101」を開発、発売したところ、世界中で大ヒットとなった。
この電子プリンター「EP-101」から発展した製品群(子供達)が成長するようにとの願いを込めて名付けられた。