タイ海軍は2015-7月初め、中国から潜水艦を購入する計画を明らかにした。調達するのは3隻で、総額は360億バーツ(約1300億円)。タイは潜水艦を1隻も持っていないため、近年、購入を検討してきた。その候補に挙がってきたのは、韓国やドイツなど、いずれも米国の友好国。ところが、今夏になっていきなり中国から購入する方針を決め、米国に冷や水を浴びせている。1990年代には6隻の軍艦を中国から購入した。「ミサイルの標的にされやすい空母や水上艦船より、対中戦略上、これからは潜水艦の役割が高まっていく。潜水艦戦力の優

タイ海軍は2015-7月初め、中国から潜水艦を購入する計画を明らかにした。調達するのは3隻で、総額は360億バーツ(約1300億円)。タイは潜水艦を1隻も持っていないため、近年、購入を検討してきた。その候補に挙がってきたのは、韓国やドイツなど、いずれも米国の友好国。ところが、今夏になっていきなり中国から購入する方針を決め、米国に冷や水を浴びせている。1990年代には6隻の軍艦を中国から購入した。「ミサイルの標的にされやすい空母や水上艦船より、対中戦略上、これからは潜水艦の役割が高まっていく。潜水艦戦力の優劣が、アジアでの米中軍事バランスを左右するだろう」「潜水艦の売却が成立すれば、製造国と購入国の軍事交流はさらに密になる可能性がある。購入国はその操縦に必要な知識や技術、実地訓練などのため、数年にわたって指導を受けることになる。部品の交換や回収、メンテナンスでも製造国の協力を仰がなければならなくなる」 「タイは広い排他的経済水域(EEZ)を抱えており、海軍力を拡大する必要がある。2011年、タイはいったんドイツの潜水艦を購入しようとしたが、その後の政局のあおりで中断した。今回、中国製潜水艦が選ばれたのは、欧州製よりもずっと安い価格を中国が提示したことが一因だ」「タイは(昨年5月の)軍事クーデターによって、米国との関係が冷え込み、選択肢が狭まってしまった。中国に傾斜するわけではないが、米国との安保関係を保つ一方で、中国との協力を増やし、タイはフリーハンドを広げようとするだろう」米政府はタイの軍事クーデターを非難し、制裁を科している。