“古今亭志ん朝の噺、「井戸の茶碗」によると。    麻布茗荷谷に住むくず屋の清兵衛、人呼んで正直清兵衛。清正公(せいしょうこう)様脇の裏長屋で器量の良い質素ながら品のある十七,八の娘に呼ばれる。貧乏浪人の千代田卜斎(ぼくさい)から普段扱わない仏像を、それ以上に売れたら折半との約束で、二百文で預かる。  白金の細川家の屋敷で呼び止められ、仏像が気に入ったと、細川家の家来・高木佐久左衛門が三百文で買い上げてくれる。  高木が仏像をぬるま湯で洗っていると、底に張ってあった紙がはがれ、中から五十両の金が出てきた。

“古今亭志ん朝の噺、「井戸の茶碗」によると。    麻布茗荷谷に住むくず屋の清兵衛、人呼んで正直清兵衛。清正公(せいしょうこう)様脇の裏長屋で器量の良い質素ながら品のある十七,八の娘に呼ばれる。貧乏浪人の千代田卜斎(ぼく … Read more “古今亭志ん朝の噺、「井戸の茶碗」によると。    麻布茗荷谷に住むくず屋の清兵衛、人呼んで正直清兵衛。清正公(せいしょうこう)様脇の裏長屋で器量の良い質素ながら品のある十七,八の娘に呼ばれる。貧乏浪人の千代田卜斎(ぼくさい)から普段扱わない仏像を、それ以上に売れたら折半との約束で、二百文で預かる。  白金の細川家の屋敷で呼び止められ、仏像が気に入ったと、細川家の家来・高木佐久左衛門が三百文で買い上げてくれる。  高木が仏像をぬるま湯で洗っていると、底に張ってあった紙がはがれ、中から五十両の金が出てきた。