“モーツァルトは並外れた才能に恵まれてはいたが、彼が魔法を使って作曲したわけではない。彼は、曲をスケッチし、修正し、行き詰まることも多々あった。傑作は、途切れない流れのように書かれたのではなく、楽器を使わなかったわけでもなく、一気に全てが書き上げられたわけでもない。彼は能力とノウハウがあったから、短時間で書き上げることができたが、その成果は、紛れもなく努力だった。これは、別のクリエイティブな分野でも同じことだ。カンディンスキーの抽象表現主義は自然に描かれたように見えるが、彼の「Painting with White Border」が21枚のスケッチと5ヶ月の制作期間を要したことを例にとると、それは紛れもなく努力の賜物だった。ライト兄弟も、ただ空に浮かんだのではない。一歩一歩進んだのだ。1899年にカイトを作り、1900年にそのカイトを元にしたグライダーを作り、最終的にそのグライダーにプロペラをつけて世界初の飛行機を1903年に生み出した。天才の代名詞となった、あのアインシュタインでさえも、発明は、彼の言う「思考の飛躍」によるという考えを否定した。”