めまい
めまいで悩む人のなんと多いことでしょう。それでだけではありません。「どんなめまいですか?」と聞かれたとき、ことばでうまく伝えられずに悩む人のなんと多いことでしょう。
「めまいがする」といってもその内容には実にさまざまな可能性があります。めまいで悩んでいる人はまず、耳鼻科か神経内科または脳外科を受診してみて下さい。そこでは詳しい問診、身体診察、血液検査、さらに必要に応じてMRIまたはCTなどの検査が行われます。耳鼻科では聴力検査やめまい誘発テストを行うこともあります。診察の結果が出ると、脳血管障害、耳鼻科的問題、メニエール病、貧血などと説明されるでしょう。しかしそのような可能性が否定され、「特にどこも悪くないですね。ストレスじゃないですか?」と言われる人も多いのです。
どこも悪くないと言われても納得できませんよね。「でも、めまいはあるんです。わたしはどうしたらいいんですか?」とあなたは言うでしょう。先生は「では心療内科で相談して下さい、ストレスの方面の専門ですから。紹介状を書きますね」と言うでしょう。
先生に手渡されたパンフレットには心療内科の説明が書いてあります。近いから明日行ってみようと思います。「自分のめまいをどう説明すればいいのだろうか、自分の説明が悪いから原因が見つからないのではないか」そんな風に悩やみつつ、あなたはクリニックを訪ねます。
診察
というわけで、心療内科の診察室です。あなたにお尋ねしたいのは次のようなことです。
- 次のような言葉がどれか当てはまりますか?
・天井が回転する。
・自分がふらふらする。雲の上を歩いているよう。
・血の気が引いていくような感じ。気が遠くなるような。 - どんなときに起こりやすいか、気づいていますか?
- めまいはこの一ヶ月で何度くらい起こりましたか?
- めまいが起こったらあなたはどうしていますか?横になってしまいますか?
- 一回のめまいはどのくらい続きますか?一日?2時間?20秒?
- めまいの他に症状はありますか?たとえば、耳が聞こえない、耳鳴り、耳の圧迫感、ほっぺたのあたりがぴりぴりする、言葉が不明瞭になる、頭痛、肩こり、下痢など。
- 薬は飲んでいますか?健康食品などは使っていますか?
自律神経症状の特徴
血液検査でもMRIなどの写真でも異常がない場合、自律神経失調症としてとらえてみてはどうか、と考えてみることになります。自律神経症状とは、頭痛、耳鳴り、下痢、便秘、疲れ易さ、不眠、食欲不振、動悸、息切れなどを指しますが、めまいも自律神経症状のひとつです。ストレスが関係した自律神経失調症または心身症の見立てには次のような特徴が参考になります。
・長い間、出たり消えたりして続いている。
・季節や環境が変わると出てくる。
・体調の変動が影響している。
・生理周期と関係あることもある。
・めまい止めの薬は多少役に立つが、安心できるほどの効き目ではない。
・小さい頃から吐いたり腹が痛くなる体質だった。
・ストレスの多い生活をしている。
・充分に休養すると多少は楽になる。
・疲れやすい。
・冷え症がある。
また診断には心理テストが役に立ちます。不安の程度、ストレスの程度、不安に対処する能力、ストレスを解消する能力、他人とどのようにかかわっているか、環境適応の程度、さらには更年期の程度なども加えて、心理面を把握します。
治療
治療は大きく分けて3つの分野があります。
- 薬の工夫。通常のめまい止めの他にいろいろな考え方ができます。漢方薬なども適切に選択すれば役に立ちます。
- 自律訓練法。自律訓練法はストレスに対処する力を高めてくれます。しばらく練習してみて下さい。上手になれば薬を減らすことができます。
- ストレス・コントロール。これが一番大切です。生活のいろいろな側面をチェックしてみましょう。若い頃と同じように無理を続けていませんか?ストレスをストレスと認識できるようになることが最初の課題です。