対人関係の網は最初のセイフティネットであるが最初の監視システムでもある

対人関係がなぜ大事なのかといえば
人間の脳の新しい部分は、たいていが対人関係のために発達したように見えるからだ

新しい部分は壊れやすい
消化管や呼吸器や筋肉よりも壊れやすい

人間のここ何万年かの生活で言えば、とにかく集団で生活していたので対人関係は重要である
食料を獲得した時、ちょうど一人分を見つけることなどあるはずがなくて、
余りの分は分け合った
塩分による貯蔵はないしましてや冷蔵保存などできない
対人関係網の内部の人間に分けて、また別の機会には、こちらが分けてもらうのが合理的だ

稲作生活になってから、土地を離れることができなくなった
田んぼが第一の財産である
すると代々その周囲に血縁が住み付き
血縁と地縁はほぼ重なることになる

こころのストレスを感じた時にまず対人関係の網が人を慰める
財産的損失が出た時も同じだろう、まず対人関係の網の中で損失を穴埋めするように努力しただろう

こころの不調になった時に働くものがまず対人関係だとすると
対人関係に不全のある場合には
心の不調に対する「薬」というか「対処」が最初から欠如していることになる

心の不調にあたり、対人関係を考えなおし、整えるということはとても合理的であると思われる