再稼働した鹿児島県にある川内原子力発電所1号機で、発電に使った蒸気を水に戻す設備でトラブル

今月11日に再稼働した鹿児島県にある川内原子力発電所1号機で、発電に使った蒸気を水に戻す設備でトラブルがあり、九州電力は、発電機の出力を上げる作業を延期すると発表しました。九州電力は今のところ運転に問題はなく、原子炉の運転や発電、送電は続けるとしています。
九州電力によりますと、川内原発1号機で20日、発電に使った蒸気を冷やして水に戻す「復水器」と呼ばれる設備に異常があることを示す警報が鳴りました。九州電力が復水器の水の成分を調べたところ、塩分の濃度が通常より高いことが分かったということです。
このため九州電力は蒸気を冷やすために取り込んでいる海水が復水器の中の水に混ざり込んだとみて21日予定していた発電機の出力を75%から95%まで上げる作業を延期すると発表しました。
九州電力によりますと、トラブルがあったのは3台ある復水器の1台で、混ざり込んだ海水は微量とみられ、別の装置で塩分を除去できているということです。九州電力は海水を取り込んでいる配管に穴が開いている可能性があり、異常があった復水器の一部を止めて点検していますが、ほかの復水器に問題はなく原子炉の運転や発電、送電は続けるとしています。
復水器は原子炉の熱で発生させた蒸気を水に戻す装置で、川内原発の場合、蒸気や水に放射性物質は含まれていません。九州電力によりますと復水器の内部を通る海水を取り込む配管は1台当たり、2万6190本あり、今回の再稼働までに行われたサンプル検査で異常はなかったということです。
川内原発1号機は今月11日、国内の原発としては1年11か月ぶりに再稼働し、その後、発電機の出力を徐々に上昇させて異常がないか確認する調整運転を続けています。九州電力は今月25日に原子炉の出力を100%に上げる予定でしたが、復水器の点検のため作業は1週間程度遅れるとしています。
蒸気を冷やして水に戻すための装置
今回トラブルがあった復水器は発電用のタービンを回したあとの蒸気を冷やして水に戻すための設備で、川内原発1号機には3台あります。中には1台当たり、2万6190本の細い管があり、その内側に海水を流して管の外側の蒸気を冷やし水に戻す仕組みで、戻した水はポンプで蒸気を作り出す蒸気発生器に送り出されます。本来、海水と蒸気は混ざらない構造ですが、復水器の細い管に腐食などで穴が開くと、海水が混入し、蒸気発生器に悪影響を及ぼすおそれがあります。
川内原発は加圧水型と呼ばれるタイプで、原子炉で発生した熱で直接蒸気を作るのではなく、放射性物質を含まない2次系の水を蒸気発生器で沸騰させて蒸気を作ります。このため安全上、蒸気発生器の腐食などを防ぐ対策が重要で、今回のような海水の漏えいを想定して、配管の途中に塩分を取り除く装置が設置されているほか、定期検査でサンプル検査をして損傷状況を調べることになっています。
原子炉運転に影響ないと確認
原子力規制庁では、21日午前9時ごろ、九州電力から報告を受けて、現地の検査官がトラブルの状況や原子炉の運転に影響がないことを確認したということで、今後は、九州電力が行う原因の調査や調査結果を踏まえた対処方法を確認していくことにしています。
原子力規制庁の松浦克巳総務課長は、「九州電力は1週間ほどで原因究明や必要な措置を行うとしている。しっかりと確認していきたい」と話しています。

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信頼を損なうには十分