父親が45歳以上の新生児は、低体重で生まれたり、集中治療室での処置が必要になったりする確率が高い

【11月2日 AFP】父親が45歳以上の新生児は、低体重で生まれたり、集中治療室での処置が必要になったりする確率が高いとの研究結果が1日、発表された。
 さらに父親が55歳以上の新生児は、出生直後の健康状態の評価に使われる標準検査の結果が劣る傾向がみられた。
 英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)に掲載された論文によると、さらに衝撃的で説明が難しい傾向として、55歳以上の男性の子どもを妊娠している女性は妊娠糖尿病のリスクが高いことが分かった。
 研究チームは、これらの結果はすべて制御された実験ではなく医療記録の分析に基づくもので、すなわち因果関係について確固たる結論は導き出せないと注意を促している。また、これらの結果の全体的なリスクは依然として低かったと補足した。
 だが、母親の年齢や喫煙歴、教育水準など、結果に影響する可能性のあるその他の因子を考慮に入れても同じ結果が得られたと、研究チームは指摘している。
「これら出生にまつわるマイナスな結果が有意な数で現れる事態は、父親が45歳になる前に子どもをもうけることを選択していた場合には回避できたことが推測される」と研究チームは結論づけ、「家族計画や生殖カウンセリングに関する議論の中に、父親の年齢に関連するリスクを含めるべきだ」と述べている。
 富裕国では男性が父親になる平均年齢が上昇傾向にあり、45~55歳以上で父親になる割合も増加している。
 米国では、父親が40歳以上の新生児の出生数の割合がこの40年間でほぼ倍増し全体の9%、50歳以上の場合は0.5%から1%に増えている。
■20グラム軽い
 同様の傾向は欧州でもみられる。例えば英国では、35歳以上の父親の割合が1993年は全出生数の25%だったのに対し、2003年には全体の40%を占めるに至った。
 最近の研究では、中年期以降に父親になることが子どもの自閉症や遺伝的異常、精神障害などのリスク上昇に関連する可能性が示唆されている。
 原因の一つとして考えられるのは、男性の加齢に伴う生殖細胞(精子)の変化だ。この変化は遺伝子そのものではなく、遺伝子がどのように発現するかに影響を与える。
 父親が高齢であることが新生児や母親に及ぼす可能性のある影響をより詳細に理解するために、米スタンフォード大学(Stanford University)のマイケル・アイゼンバーグ(Michael Eisenberg)氏率いる研究チームは、米国で2007~16年に記録された出生データ4050万件以上を綿密に調査した。
 その結果、父親が45歳以上の新生児は、それよりも若い父親の新生児に比べて出生体重が平均20グラム軽く、また2500グラム未満の低出生体重児となるリスクが14%高かった。
 また、父親が45歳以上の新生児は、父親が25~34歳の新生児に比べて、新生児集中治療室で処置を受ける確率が14%、けいれんを起こす確率が18%、それぞれ高かった。
 一方、55歳以上の男性の子どもを妊娠している女性では、妊娠性糖尿病の発症リスクが34%上昇することも分かった。さらに研究チームは、早産の13%が父親の高齢に起因すると推測している。