“他者を知ることは知恵であり、自分自身を知ることは悟りである。(老子)”
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知的には大人であるが
感情や自己コントロールにおいて、また他者への共感性においては
未成熟である人が多くなっている
たとえば理系出身の技術者がわかりやすいが
通信技術の専門家で
無線通信での情報量の拡大を研究しているとする
すばらしい知的な営みである
その同じ人が
プライベートな場面では
スマホを使って実に原始的な会話をしているのである
その人の浮気がバレて、妻に見られた時など
『あなたはもっと賢い人かと思っていたのに』
などと言われる
よく言われることであるが
科学や技術の分野では
世代間で蓄積ができるのでどんどん進歩する
一方、個人的な内的な成熟については
本を読んで理解すればそれで卒業というわけにはいかない
ドラマや映画で擬似体験してそれで自分の行動や思考を変えられるなら
とてもいいのだが
実際に自分が経験して初めて身にしみるというのが普通の人間だろう
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従来、本来的な精神病とは、
他者と共有不可能な側面があるのだと考えられてきたところがあると思う
同じ病名で一括してくくられているとしても、
その分類の内部の各人が根本部分を共有しているとも思えないのである
それを共感能力の低下や欠如と考えることもできるだろうし
微細に見ると本当に違う経験なのかもしれない
脳のような複雑な器官が壊れるときに
それほど単純な壊れ方をするとも思えない
たとえば電話のことを考えると
電話機が壊れても通信施設が壊れても停電になっても
要するに「通話できない」という困難を感じるだけである
これを共通と考えるか、個別と考えるか、立場によるということになるだろう