1200人あまりいる東大教授の場合、年間給与の総額は約1156万円(平均年齢55.9歳、平成26年度)という平均値が公表されています。最低866万円弱から最高1800万円以上まで幅が広がっている主な理由は、40歳過ぎで教授になっても年功序列のために45歳准教授約860万円というモデル給与と大差がないのに対し、研究科長などの管理職につくと6割の手当がつくからです。つまり、管理職にならないヒラの東大教授の年収は高くとも1200万円に届かないのが普通です。
それでも、東大の平均給与は他の国立大学法人に比べてやや高めです。公務員の給与の仕組に準じた都市手当てが東京では18%と全国一であるのに加えて、東大には医学系の教員が多く、大学外で医者になった場合との給与格差是正のためとして臨床医師教員手当てが支給されるため、医系教員の割合が多い大学の方が一般に平均給与は高くなるからです。そのため、国立大学法人の中では東大は東京医科歯科大学に次いで2番目に高い給与なのです。
しかし、その東大の平均給与も、私立大学に比べると最低クラスです。学部や専門によってまちまちのようですが、平均が東大の1.5倍程度の一流私大もあるようです。もっとも、国立大学法人に比べると教員あたりの学生数が私立大学では圧倒的に多く、講義や研究論文指導の負担を考えると妥当な違いかもしれません。
さらに、ハーバード大学やマサチューセッツ工科大といったアメリカのトップ大学の教授の給与は平均で約2千万円です。円安のご時勢、この格差はさらに開いています。学生が世界中からその講義を目指して入学してくるような名物教授ですと平均よりもさらに多額、日本の数倍の給与がもらえるようで、僕と同じ分野でプリンストン大学の大御所の先生の給与は30万ドル(約3300万円)をくだらないそうです。
一方でアメリカでは教員間格差も大きく、大学によってはトップ大学平均の数分の一しかもらえない方もいるようです。そもそも、アメリカの多くの大学では1年間に9か月分の給与しか教員には支払われず、残り3ヵ月分の給与は自分で獲得した研究予算から自分自身に支払うか、サマースクールの講師をやって給与をもらうか、といった自助努力が必要とされています。