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夢を見ていて眠りから覚める
記憶ははっきりしていて
夢分析ではないが、場面を反芻して味わっている
たぶん一時間くらいで現実に戻ってくる
途中で感じるこの現実世界に対する違和感はどうしたものだろう
結局一つしかない現実世界であるが
別に大したものではないし偶然の要素が大きい
なぜ偶然に翻弄されなければならないのか理不尽である
そんなことを感じながら精神のチューニングが少しずつ進行し
現実世界に降り立つことができる
その唯一性はくだらないものだがあらがえないものでもある
生きるために受け入れる
いや、そんなことも思わずに、チューニングが進行して完了する
なぜ完了するのかもわからないのだが
たぶん容易な道を選んでいるのだろう
この巨大な現実の力に抵抗することはむつかしい
半分だけ夢を見続けていていいのが芸術と宗教の世界ではないだろうか
ただ芸術と宗教の指導者は、精神をこの現実世界にチューニングしているのだから
本来のもう一つの世界を本質的に失っていることになるだろう
夢の記憶の断片はだんだん失われるが
いまも思い出して不思議だと思う
そして現実を相対化する時間が過ぎると
自分の精神を相対化して
自分の精神内界の不思議さを思うようになる
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