桜の花や沈丁花の香りよりも 命そのもののような生々しい緑の香り

桜が咲いて
春めいてうとうとしている
風呂上がりに寝具の肌触りが心地よい
遠い日のゴールデンウィークのけだるさを思い出していた
幸福はあるのだけれど
それ以上の爆発的な幸せはもうないのだと若い日に諦めたような気がする
ぬるぬるとして
あの緑の香り
桜の花や沈丁花の香りよりも
命そのもののような生々しい緑の香り
窓から流れ込んできていた葉緑素の匂い
動物園が近くにあったので
風の向きによっては獣の匂いも満ちていた