エスカレーターのステップと手すりを厳密に同期するように作ることはできません

あれ? 誰かの日記に「エスカレーターの手すりがステップと同期していなくて前のめりになる」とか書いてあった気が…誰だっけか…
まぁ、いいや。答をここに書いておく。
それは仕様です
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厳密に言うとこう。
エスカレーターのステップと手すりを厳密に同期するように作ることはできません。そもそも素材として手すりはゴムなので伸び縮みしますし。
主に手すり側が徐々にゆっくりになるのが一般的です。
で。
ちょっと考えて欲しいのですが、あなたが今のぼりのエスカレーターに乗ったとします。真横の手すりをつかみそれを離しません。ステップに比べて手すりの速度が遅いとしましょう。何が起こりますか?
そう、徐々に体が後ろのめりになります。そのまま意地でも手を離さない、というのをやると「後ろのめり」になるのですが、その状態は最終的にエスカレーターを転げ落ちる方向に当たります。
逆にくだりのエスカレーターで手すりが速かったら?
徐々に体が前のめりになります。これまたエスカレーターを転げ落ちる方向です。
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なので、エスカレーターの手すりは、定期メンテナンスの際に
– のぼりはほんの少し手すりの方が早くなるように(そうすれば前のめりになるかもしれないが、エスカレーター山側に倒れるので転げ落ちる可能性は低い)- くだりはほんの少し手すりの方が遅くなるように(そうすれば後ろのめりになるかもしれないが、エスカレーター山側に倒れるので転げ落ちる可能性は低い)
それぞれチューンしておくのだそうです。どれぐらいずらしておくかは、その機械の精度と古さ(ベルトを駆動するローラーの古さとか磨耗具合とか)、そしてエスカレーターの長さと、次にメンテナンスに来る時期に依存するそうです。
というわけで、工業製品系の仕様には意外とちゃんとした理由付けがあるのですよ、というお話でした。