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―― でも辞めちゃうんですよね、なんで会社はそんな人を手放すんですかね。
中野 POS(Point of Sale System)を導入したんですよ。それは音楽を殺すからいかんと、僕は最後まで主張したんですが。
―― それはどういう理由からですか?
中野 POSは売れるものだけ売って、売れないものを切るシステムなんです。音楽でも何でも、市場にはヒエラルキーというものが存在しますよね? 大衆向けからマニア向けまで、裾野の広い下の部分から突端まで。その上の部分を切ってしまったら、そのジャンルは死ぬに決まってるんですよ。
―― そんなに売れないけど、そのジャンルの先鋭的な部分ということですよね。
中野 生長点に当たる部分ですよ。そこを切ってしまったら、下は育たなくなるし、つまらなくなっていくんです。だけど会社は売れるものを売って、利益を上げたい。昔は売れなくてもブルーグラスを置いとこう、カントリーの好きな人がいるからって置いてたのが、POS管理になると、それは不良在庫になっちゃうんです。
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