近年の「ひきこもり」問題は複合し,錯綜している。同じ当事者でも,場や関係により,その姿は一様ではなく,心のありようも微妙に変化し続ける。そうした当事者に,支援者は視点を移動させたり,関係者との連携の中でさまざまな情報を総合しながら考え,取り組むことが必要である。 相談室での一対一の面接方法にこだわるのではなく,支援者自身がいかにそこから自らを解放してものを考え,関わりのバリエーションをもつかが求められる。
本書では,心理職として「ひきこもり」をどう理解し,アセスメントし,支援していくかを,予防・教育アプローチ,家族支援,コミュニティーワークなど援助技術各論を紹介し,課題も含めて詳述する。
本書では,心理職として「ひきこもり」をどう理解し,アセスメントし,支援していくかを,予防・教育アプローチ,家族支援,コミュニティーワークなど援助技術各論を紹介し,課題も含めて詳述する。
おもな目次
第Ⅰ部 ひきこもりについての理解
- 第1章 ひきこもりの現状と支援における課題
- 第2章 文化的時代的背景からひきこもりを考える
- 第3章 ひきこもりの原因とメカニズム
- 第4章 ひきこもりにつながる体験・環境
第Ⅱ部 各援助段階における臨床心理士の役割
- ――アセスメント,ファシリテートの実践
- 第1章 家族支援から当事者支援への結びつき
- 第2章 就労および社会参加への継続支援と他機関連携
- 第3章 支援のゴールと生き方志向への関わり
- ――「働く意味」を超えた「生きる意味」の追求
第Ⅲ部 長期支援の課題とその対応
- 第1章 生活維持と経済的問題
- 第2章 親なき後を見据えた支援
第Ⅳ部 援助技術各論
- 第1章 予防・教育的アプローチ
- 第2章 家族支援
- 第3章 認知行動療法を応用した支援
- 第4章 ひきこもり家族グループの実際
- 第5章 コミュニティワーク(ネットワーキングを含む)
第Ⅴ部 ひきこもり支援における心理職の課題
第Ⅵ部 資料:ひきこもり支援に関わる諸機関