“稲留:かつてはレンズ設計が完了するとまず試作機を製作して実写評価していましたが、画像シミュレータはレンズの設計データを入力するだけで、そのレンズで撮影した場合に最終的に作り出される画像をシミュレーションで作り出すことができるソフトウエアです。つまり、実際にレンズを試作して実写しなくてもどのような描写になるかわかります。また、画像シミュレータによる画像は、実写と区別がつかないほど高精細ですので、実写と同等の評価が可能になります。その結果、レンズ設計の微調整を行なう場合も、実際に試作品を作る必要がありませんので、スムーズな設計の進行が可能になりました。最近発売されたレンズは、ほぼすべて画像シミュレータによって描写性を確認しながら設計されました。
(略)
田中:例えば新人のレンズ設計者であっても、今自分が設計したレンズで窓の外の風景を撮影したらどのような描写になるかが一目瞭然でわかりますし、ポートレート撮影で片方の目のまつ毛にピントを合わせると、アウトフォーカスしたもう一方の目のまつ毛のボケ方なども詳細にシミュレートできます。”
インタビュー:ニコンが考える“レンズの味”とは?