自制心や社会性が伸びると学力は伸びるけど、その逆はないということです。学力が伸びたからといって、必ずしも自制心や社会性などの非認知スキルが高くなるわけではありません。子育ての順番としては、非認知力を鍛えるほうが先

子どもを「成功者」にしたいのなら、親はなにをやるべきか。『プレジデントBaby 0歳からの知育大百科 2017完全保存版』(4月26日発売)では、「科学的に正しいしつけ・声かけ」を紹介している。近年の研究で、社会的成功者になった子どもは、学力よりも、「非認知スキル」を伸ばしていたことが、科学的なデータでわかってきているというのだ――。
子どもを「成功者」にしたい親が早期教育より絶対優先すべきこと
『プレジデントベイビー 0歳からの知育大百科 2017完全保存版』
親なら誰もが、わが子に幸せな人生を歩んでほしいと願うもの。その近道になると多くの親が信じてきたのが「学力を伸ばすこと」で、幼児期から読み書きなどの早期教育をする人も少なくない。しかし、近年の教育経済学の研究では、この時期には学力よりも別のことを伸ばしたほうが結果的に学歴や年収が高く、社会的に成功することが明らかになってきた。
それは「非認知スキル」を伸ばすことである。教育経済学者で、慶應義塾大学総合政策学部准教授の中室牧子氏は、次のように説明する。
「IQや学力テストなどで計測できる能力のことを『認知スキル』といいます。一方の『非認知スキル』は、自制心ややり抜く力、ルールを守るというような社会性など、これまで個人の性格や気質と捉えられてきたものを指します。非認知スキルが大切であると知られるようになった研究の一つに、ノーベル経済学賞を受賞したシカゴ大学のジェームズ・J・ヘックマン教授が調査を行った『ペリー幼稚園プログラム』があります。このプログラムにより、幼児期に非認知スキルを伸ばすと、その効果は成人後も長続きして好影響をもたらすことがわかったのです」
「ペリー幼稚園プログラム」では、ランダムに選ばれた低所得のアフリカ系アメリカ人の子どもたち(3、4歳)に、30週にわたって午前中に2時間半ずつ授業を受けさせ、さらに週に一度の家庭訪問を実施した。その後、プログラム(授業や家庭訪問)を受けた58人と受けなかった65人を40年にわたり追跡調査したところ、受けた人のほうに次のような傾向が認められたのだ。
●「小学校入学時のIQが高い」
●「高校を卒業する割合が高い」
●「成人後の所得・貯金残高・持ち家/自家用車の保有率などが高い」
自制心、やり抜く力のある子は、“あと伸び”する
ただし、ここでポイントとなったのが、小学校入学時のIQはプログラムを受けた子どもの方が高くても、8歳頃には受けていない子どもと並んでしまうことである(一般的に脳の成長は8歳くらいまでに完成することと関係していると考えられる)。
これは何を意味するのか。
プログラム(授業と家庭訪問)の学力への効果は一時的なもので長続きしなかったということだ。不思議なのは、それでも、その後、さらに大きくなってから前述のような結果(高卒割合が高い、成人後の所得などが高い)につながったことだが、その理由をヘックマン教授が慎重に分析し、こう結論付けたのだ。
<前出のプログラムを通じて、子どもたちの「非認知スキル」が伸びた>
中室准教授はこう解説する。
「実はペリー幼稚園のプログラムでは、『読み書き』といった認知スキルを伸ばす活動と、決まりのある遊びを通じて自制心、社会性などの非認知スキルを伸ばす活動、さらに親への指導という3つの要素が混在していました。
そこで2010年からシカゴ大学のジョン・A・リスト教授が、この3つの要素を切り分ける大規模な後続研究を始めました。認知スキルを鍛えることに特化した幼稚園と、非認知スキルを鍛えることに特化した幼稚園、さらに親だけに指導を行うペアレンティングスクールをつくり、子どもたちの成長具合を調べています。まだ7年目ですが、現段階でもっとも優秀な子どもが育っているのが、非認知スキルを鍛える幼稚園だそうです」
自制心があると、なぜ、学力が伸びるのか?
ところで非認知スキルが伸びると、なぜ、学力が伸びるのか。
それは、自制心や社会性がある子は、学校で先生の話にしっかり耳を傾け、懸命に勉強したり、スポーツや習い事をしたりすることができるからだ。
「重要なことは、自制心や社会性が伸びると学力は伸びるけど、その逆はないということです。学力が伸びたからといって、必ずしも自制心や社会性などの非認知スキルが高くなるわけではありません。子育ての順番としては、非認知力を鍛えるほうが先なのです」(中室准教授)
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このことは前出のヘックマン教授によるジェネラル・エデュケーショナル・ディベロップメント(GED)テストの研究でも明らかになっている。
「GEDテストは日本の大学検定にあたるもので、高校中退者が高校卒業資格を得るために受験します。GED合格者は学力については高校卒業者と同程度であるはずなのに、収入は高校中退者と同程度にとどまっています。この原因と考えられるのが、非認知スキルの低さ。実際にGED合格者の非認知スキルを計測すると、GEDテストを受けていない高校中退者とほぼ同じでした」(中室准教授)
私たちは学校には学力を伸ばすために通っていると思っている。しかし本当は、学力よりも大切な非認知スキルを鍛えるために通っているのだ。
雨の日も風の日も休まず学校に行って、退屈な授業を聞いたり、課題を期日どおり提出したり、反りの合わない友人とも話を合わせて付き合ったり。そういった「日常」に重要な意味がある。このことは、ぜひ、わが子に教えてやりたい。
「一般的に偏差値の高い大学に行けば、将来の収入も高くなると思われています。実際に社会調査を行うと、そのような傾向にあります。しかし、これは収入が高くなる別の要因がある優秀な人は勉強もできることが多いという“相関関係”で、勉強ができると収入が上がるという“因果関係”ではないことが明らかになっています。因果関係とは、『原因⇒結果』になる関係。教育分野には相関関係を因果関係と勘違いした言説が数多くあり、そこを見誤ると間違った指導をすることになるので注意が必要です」(中室准教授)
学力と収入の関係については、中室准教授の新著『「原因と結果」の経済学』(ダイヤモンド社)に詳しい。「テレビを見せると子どもの学力が下がるというのは、間違いである」など、目から鱗の情報が満載だ。
こうすればわが子の「非認知スキル」が伸びる!
非認知スキルは、成人するくらいまで伸びることがわかっている。
たとえば、非認知スキルのなかでも大切な「やり抜く力」。同名の著書がベストセラーになっているペンシルバニア大学のアンジェラ・ダックワース教授によると、「習い事でも部活でも、安易に辞めさせず、やり抜かせる経験をさせていくことが大切」という。仮に辞めるにしても、発表会までに練習をがんばるという目標を達成してからにしよう。
さらに中室准教授は、非認知スキルを鍛えるなら「早ければ早いほどいい」という。それは、スキルの複利効果が期待できるからだ。
「人がひとつの能力を獲得すると、それが次のスキル獲得につながっていきます。たとえば、算数の九九ができるようになったから、次に因数分解ができようになるし、因数分解ができるから、微分積分ができるようになっていくというようなことです。人はそういうことの連続で、スキルが増幅していきます。だからこそ、ヘックマン教授は子どもに教育投資をするなら、就学前の時期が大切だと訴えて、ノーベル経済学賞を受賞したのです」(中室准教授)
いまこれを読んでいるあなたに、乳幼児のお子さんがいるなら、もっとも投資効果の高い時期だ。現在発売中の『プレジデントBaby 0歳からの知育大百科』では、中室牧子准教授監修のもと、「科学的に正しいしつけ・声かけ」と題して、0歳からできる非認知スキルを鍛える方法を紹介している。言葉が伝わらない赤ちゃんに、どうやって「ガマン」を教えるのか? ぜひ、誌面でチェックしてほしい。
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しかしながら一方で、
著しい性格障害者が
政治家になったり組織の決定権を持つ人間になったりして、
社会の矛盾を強く露呈している
我慢ができない、社会性がない、謙抑を理解しない、目先のことしか考えない、
今だけ金だけ自分だけ、果てしない自己顕示欲、他人を道具のように利用する、
一貫した信念を持たない、平気で嘘をつく、伝統的エリートを攻撃することによって民衆の喝采を博す
B級市民にアピールする、恥ずかしさを知らない、
まあ、そんな人が偉くなる社会になってしまったのだ、
だから、忍耐強い人がいいというこの記事も怪しいと思う