カフェインを多く含んだ眠気防止の薬や清涼飲料による中毒で、2011年度からの5年間に少なくとも101人が病院に運ばれ、うち3人は死亡したことが、日本中毒学会の実態調査でわかった。ほかにも重大事故が起きており、若者を中心に「乱用」されている可能性がある。
カフェインは興奮作用があり、短時間に大量摂取すると吐き気、心拍数の増加、興奮などの中毒症状が現れる。個人差が大きいが、成人では1グラム以上で症状が出る可能性が指摘されている。
文部科学省の日本食品標準成分表によると、コーヒーには100ミリリットル当たり0・06グラム、煎茶には同0・02グラム。広く使われている市販の眠気防止薬には1錠0・1グラムほど含まれ、かぜ薬や若者を中心に人気の炭酸飲料「エナジードリンク」にも使われている。
深夜勤務に就いていた九州の20代男性が、エナジードリンクとカフェイン製剤を一緒に飲み過ぎて死亡する事故が15年に報告された。その後も、急性中毒で病院に運ばれるケースが相次ぎ、学会が初めて実態調査した。
調査に協力した全国の38救急医療施設に搬送され、カフェイン中毒と分かったケースを集計した。患者は11年度10人、12年度5人だったが、13年度は24人に急増。15年度は37人だった。計101人中97人は眠気防止薬を使っており、7人が心停止、うち3人が死亡。心停止した人はいずれもカフェインを6グラム以上取っていた。エナジードリンクだけの中毒は4人だった。患者の年齢の中央値は25歳で、18歳以下が16人いた。
調査した埼玉医科大の上條吉人教授は「激しい嘔吐(おうと)や動悸(どうき)で非常に苦しむ症例が多い。自殺目的の過量服用もあるが、眠気覚ましのために乱用しているケースもある」と指摘する。