ロックンロールは“つぶれ”と“ひずみ”の音楽

ハイレゾと圧縮音源
──ところで、先ほど48kHz/24bitでハイレゾにも対応できるという話がありましたが、達郎さんはハイレゾについてはどういう印象を持っていますか?
96kHz以上はあんまり好きじゃない。ロックは48kHz/24bitで十分です。今回96kHzも試してみたんだけど、なんだか気持ち悪くてね。人間の聴覚は20kHzからちょっと上ぐらいで終わるんだからそれで十分なんだよ。そういう部分より、ロックンロールは“つぶれ”と“ひずみ”の音楽だから。 
──つぶれとひずみ?
音のつぶれと音のひずみが根性を生む。それがロックンロール。デジタルっていうのはノイズがない。ひずまないの。アナログはレベルをぶっ込むとひずむ。そのひずみがロックなの。
──解像度が高ければいいというものではない?
ない。昔のアナログの音はフェードアウトするとき、ちゃんと音が遠ざかるんです。でも今のデジタルだと遠ざからないで、同じ場所でそのまま小さくなる。そういうのもアナログとデジタルの違いなんです。だから2000年過ぎた頃からポップミュージックにフェードアウトが激減したでしょ。それはデジタル化と無関係じゃないと思う。デジタルのフェードアウトはなんだか違和感があるんだよね。