学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却問題で、ノンフィクション作家の菅野(すがの)完(たもつ)氏が15日、同学園の理事長を辞任する意向を示している籠池(かごいけ)泰典氏と面会し、報道陣の取材に応じた。稲田朋美防衛相が「10年ほど前から(籠池氏と)関係を絶っている」としている点について、籠池氏が「都内で会って握手をした」と主張している、と述べた。
籠池氏は15日に予定していた日本外国特派員協会(東京)の会見をキャンセルし、この日午前に上京。都内にある菅野氏の事務所を訪れた。
菅野氏は面会途中、事務所前で待つ報道陣の前に現れ、「保育園関連の会合で会ったときに、大勢の中で握手をして話をした」という籠池氏の発言を紹介。日時は、「僕が調べたら、2015年10月で自民党本部だと思う」と話した。
稲田氏は前日の14日、これまでの説明を翻して学園側の代理人として民事訴訟に出廷していたことを認め、国会で謝罪。籠池氏とは「10年ほど前に失礼なことをされ、関係を絶っている」と主張していた。
菅野氏は、稲田氏が指摘した「失礼なこと」をめぐる籠池氏の説明として、訴訟の進行をめぐって「納得しかねたのでファクスを送ったことだろうと言っている」と話した。
一方、稲田氏は15日の菅野氏の発言を受けた取材に対し、事務所を通じて「多数の者が参加する業界の会合、政策会合や講演会などの場にお見えになったのかもしれませんが、記憶に基づきますと、お会いしたという認識はない」と回答した。
菅野氏によると、籠池氏は「大阪府豊中市の国有地売却をめぐる問題が報道された後、財務省の佐川宣寿理財局長から弁護士を通じて『10日間でいいから身を隠してくれ』との連絡を受けた」という趣旨の説明をしたという。
こうした内容は同日午前の国会でも取り上げられ、同省の佐川局長は「隠れてくれなどと言った事実はない」と否定。籠池氏の代理人弁護士は同日夜、「事実誤認。佐川局長と話をしたことはない。財務省の他の職員からも言われたことがない」とし、代理人を辞任したとする談話を報道各社に送った。
菅野氏は、籠池氏がこの日の会見をキャンセルした理由について「色々な事情がある」とした上で、「こんな状況で話をすると事態を正確に伝えられない性格の方。そういうことをご自分で判断されたのがひとつの要素」と述べた。
同日夕、菅野氏の事務所を出た籠池氏は報道陣に手を上げ、無言で車に乗り込んだ。(朝日)
■森友学園の弁護士、代理人を辞任
森友学園の代理人弁護士は15日夜、学園の代理人を辞任すると明らかにした。報道各社あての文書で発表した。同日正午に籠池泰典氏夫妻に辞任の意向を伝え、夕方、了承を得たという。
また文書では、籠池氏が「財務省の佐川宣寿理財局長から弁護士を通じて『10日間でいいから身を隠してくれ』との連絡を受けた」という趣旨の説明をした、というノンフィクション作家の菅野完(すがのたもつ)氏の話について、「事実誤認」と否定。「佐川理財局長とは面識もありませんし、話をしたこともありません。財務省の他の方からもそのようなことを言われたことはありません」と記した。
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弁護士ではなくジャーナリストが仕切っている珍しい光景