福島の復興補助金 計6億6100万円不正受給
補助金の不正受給が発覚したルキオの東北工場=南相馬市原町区
福島県は18日、東日本大震災からの産業復興を支援する県の補助金を不正受給したとして、南相馬市に工場を建設した大型プリンターなどの製造販売「ルキオ」(東京)に約5億7700万円の返還を命じたと発表した。国の「グループ化補助金」を不正受給した郡山市の食品加工会社2社にも同日、計約8400万円の返還を命じた。県は3社を詐欺容疑などで福島県警に告訴、告発する方針。
ルキオは2014年2月、南相馬市原町区に「東北工場」を新設。工場で使う業務用大型プリンターや付属品33件の購入費用を水増しして請求し、「ふくしま産業復興企業立地補助金」を不正に受け取った。
県によると、社長が虚偽の書類作成を納入業者に指示していた。同年12月に県に水増し請求に関する情報提供があり、調査を進めていた。南相馬市も18日、市独自の立地助成金5000万円の返還を命じた。
同社は返還に応じる方針で、操業を続ける。取材に対し「浮いた費用は別のプリンター購入費などに充てた。各方面に多大な損害を与え申し訳ない」とコメントした。
郡山市の「鮮味」「PCプラス」は12年7月、被災企業を支援するグループ化補助金を申請。実際には行っていない工場の修繕や設備の更新費用を虚偽記載した報告書を提出した。同じ男性が社長の2社は破産手続き中で、補助金の回収見込みは立っていない。
企業立地補助金は12年度に始まり、工場立地の初期投資費用の一部を補助。15年度までに計338件、約1300億円を交付した。グループ化補助金は11年度から計3427件、約838億円が支払われている。
県商工労働部の玉根吉正政策監は「県民の復旧・復興への期待を大きく裏切り、誠に遺憾。現地確認を徹底する」と話した。河北新報