知性主義と反知性主義

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曇りのない目で世界を見れば
自然科学のような知性の集積こそが人類の未来を作ると考えられる
知性主義や理知主義と言われるものは
政治では民主主義、市民の良識や判断力を信じる主義である
経済では共産主義、知性で世界をコントロールする計画である
また国境のない世界政府主義
といったものに行き着くだろう
アメリカとソ連が対立して競争していた時代は
日本にもアメリカの手先とソ連の手先がいた
先鋭で割り切った知性主義はソ連の考えに共鳴していたと思う
最終的には世界政府で民主主義、経済は共産主義、搾取のない世界、子供は社会の子供であるとして教育を重視する社会などが目標とされた
一方で、そこまでは割り切れない、現状と理想の間には何段階もの中間形態があるべきだとする人たちもいて、おそらく、自民党のリベラル勢力などは説明を求められればそのようなことを言ったと思う
たしかに、理想論だけで割り切ることも難しく、現在の状況から出発するしかないのであるから、緩慢ではあるが、漸進的に物事を改良してゆくのは良いことだと思われた
そこには深い英知があった 
いずれにしても世界は平和であるべきで、戦争はしない方がいい、核兵器などは持つべきではないし、しかしそのことを押し付けるために戦争をするのも間違ったことだと思われた
ソ連が崩壊してロシアになって世界的共産主義の指導者は不在となり、秘密の資金・人材提供や武器提供も途切れた
この頃は、経済としては、徹底的な自由主義も間違いであるし、徹底的な計画経済も間違いであって、両者の混合をするのが良い、
平和な世界のためには最終的には民主主義的な世界政府が良いが、そのための十分な教育も実現していないし、民主主義の土台と貧困の撲滅も実現していない、その段階では、選良により間接民主主義を採用し、政治を進めるのが良いだろうと思われた
ソ連がいなくなって、無駄な世界の緊張は消失し、無駄な軍事費を削減し、その分の資源(リソース)は教育や福祉に向けられるだろうと期待された
実際大いに期待された
レーガン大統領の言う「悪の帝国」は消えたのである
左がいなくなったのだから、無理に右と言っていた人たちもいなくなるのではないかと期待された
どの人も中間的な立場で協力できるのではないかと期待された
社民主義などの流れである
しかし実際は、左がいなくなって、右はますます右に行ってしまった
民族主義、排他主義、差別主義の蔓延
かつてあった理想もいまは誰も語らない、理想への道のりも議論しない
人間はこんなにも愚かだったのかと呆れ果てているのが現在である
現状を報告する言葉は反知性主義であり、知的相対主義である
そんな中で新自由主義が台頭し、制限なく貪欲になってよいとみんなが言うようになった
証券会社だけでなく製薬会社もそう言うのである
製薬会社は株主の利益のためにあると堂々と主張する
際限なくM&Aを繰り返し、大量宣伝し、各国政府に圧力をかける
たしかに、日本のように、近代科学の中心地でもなく、一神教的な風土でもない場所では、反知性主義は快く響くのかもしれない。
しかし長い時間を書けて人類が進む方向はやはり知性化社会であると思う。
知性主義や反知性主義という言葉は
自然科学のように実証できないものなので
よくあるのは、定義からひっくり返して話を曖昧にして結論を恣意的に導くことである
そういう人は昔もいたし今もいる
いつも同じ話を焼き直して繰り返しているのである
お疲れ様である
知性の十分でない世界では
宣伝が有効である
広告会社が市民の政治意識を操作できる社会のままにしておきたいのである

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