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敬老の日ということで105歳でなくなった祖母のことを思い出していた
祖母はある時、自作の納豆に挑戦した
決心は唐突だったように思う
周囲が相談に乗った感じはなかった
家族でも親戚でも納豆を自作したという話は聞いたことがなかった
祖母は農業をやっていたので、大豆も自分で収穫していたし、
納豆の発酵に使うわらも自分のものがあった
たしかあの時はかなりの量を作ったように思う
子供の記憶だが直径80センチくらいの大きな鍋にいっぱいに大豆を煮ていた
行き過ぎの、ファンキーな人であった
煮た大豆に、種になる納豆も混ぜたりしたのだろうと思うが、よくわからない
わらにくるんで納屋に置いていた
しかし近くに行ってきちんと見たことはないし、匂いも記憶に無い
温度管理などはできないただの納屋だった
両端を縛ったわらの納豆の形をしていたことは覚えている
そのうち、一応出来たけどうまく行かなかったとかで、処分したらしい
私たちには見せなかったし試食の機会もなかった
気分の切り替えの早い人で
ダメだったというきりで、特に嘆くでもなかったように思う
感情表現はとってもストレートな人なので
あまり嘆かなかったということは
失敗を悔いる気持ちが本当に無かったのだと思う
そして自作納豆の試みはそれきりになった
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