「同一労働・同一賃金は実現できない!」本当の理由
本質はそこじゃないんだよ。なんで欧米で一般的かというと、向こうはスペシャリストの世界だから。日本は一貫してゼネラリストの世界。
ライン工で例えると、欧米ではライン工という仕事につく。日本では工場勤務という仕事について、ライン工という作業をする。
日本の場合、会社で働く事が仕事だから、転勤や部門移動なんかが普通にある。色んな作業をこなし、その会社全般での知識や経験を積んでいくため。その結果が、終身雇用と年功序列という考え方。そして会社別に最適化されちゃってるから、雇用の流動化が起きにくかったりする。同じような仕事でも会社でやり方が違うせいで、転職したら使いものにならない人材とかよくある話。
例えば日本の飲食店で注文を取ろうとした時、混んでる時でも手が開いてる人がテーブルに来てくれる。カウンター席だと調理場の人間が対応してくれたりする。これは店で働く事が労働だから。同一労働・同一賃金を突き詰めると、調理場の人間は調理が仕事なので注文対応はしない。注文担当でもテーブルで担当が決まっているので、空いてる人でも対応してくれなかったりする。それは自分の仕事じゃないからだ。
日本の教育はゼネラリストが求められてるから、幅広い知識を持つことを重視してる。ドイツなんかでは14歳ぐらいで自分が何の職に付くのかを決めて、それに必要な知識を磨いていく。知識がないと仕事に付けないから。今の教育環境で同一労働・同一賃金とかしたら大変なことになると思う。
そもそも一番勘違いされてそうなフレーズがこれ。
>勤務地限定社員の方が、仕事は優秀かもしれません。
同一労働・同一賃金は、個人の優劣に賃金を払う制度ではなくて、その仕事の対価に賃金を払う制度。だから、ライン工になったらライン工としての給料しか出ないので、もっと稼ぎたければ勉強して、別の賃金の高い仕事に転職しろって制度だぜ。