コモンウェルス(commonwealth)とは、公益を目的として組織された政治的コミュニティーを意味する用語。
wealthは富ですね。
commonは公共、共有、共通とか、社会一般のなどの意味です。
【イギリス連邦】
イギリス連邦は、かつてのイギリス帝国(大英帝国)がその前身となって発足し、イギリスとその植民地であった独立の主権国家から成る、緩やかな国家連合(集合体)です。
別名、英連邦、ブリティッシュ・コモンウェルスとも言うそうです。
参加国は、イギリス、マレーシア、シンガポール、インド、ナイジェリア、南アフリカ、カナダ、オーストリアなどなど。
香港は参加していませんが、多くの旧植民地が参加しています。
これらの国は、英語を公用語としている国や第2言語としている国も多く、また交流も盛んです。
代表例として、コモンウェルスゲームズというのがあります。
コモンウェルスゲームズ (Commonwealth Games) は、イギリス連邦に属する国や地域が参加して4年ごとに開催される総合競技大会である。オリンピック競技のほか、英連邦諸国で比較的盛んなローンボウルズ、7人制ラグビー、ネットボールなども行われる。
オリンピックほど、大規模ではないのですが、大規模な国際大会です。そのために、大規模な公共工事をするほどです。
クリケット、ラグビー、ホッケーなどは英国連邦内でも人気のある競技なのですが、英国連邦外では、あまり人気がなくオリンピック競技ではないので、ワールドカップに次ぐ(ある意味上回る)国際大会でしょうか。
他にも、大学のレベルで言いますと、アメリカとイギリスが世界トップレベルです。
これは、世界中から人材を集められるのが最大の強みです。
そして、それらの人材が、世界中を動き回るのですから、日本国内だけに留まっているのとは、ダイナミックさが根本的に違います。
グローバル化か、パラダイス鎖国を議論して、迷っている日本とは、もう別次元です。
イギリス連邦の強みは、この交流力・交流ネットワークと言うソフトパワーでしょうか。
さて、なぜ、英国連邦が重要なのでしょうか。
【単独でのパワー低下のイギリス】
英国は、ヨーロッパに属するのですが、大陸諸国とは距離があります。ドイツやフランスのように政治的統合に参加する気はありません。
しかし、ユーロ圏は人口3億人。英国は6000万人です。
何もしなければ、孤立するか、経済的に取り込まれてしまいます。
グローバル規模でも、無視して良い存在になってしまいます。
そこで重要になるのが、イギリス連邦の遺産です。
グローバル経済においては、世界規模で広がるこのネットワークは、強力なソフトパワーになります。
ただし、イギリスだけのメリットでは、連邦は維持できません。
ここの国も十分に、イギリス連邦を利用する動機があります。
【中途半端な国々】
例えば、カナダやオーストラリア。カナダは人口3000万人後半、オーストラリアは2000万人後半しかいません。
対して、カナダ隣国のアメリカは3億人以上ですし、オーストラリアの隣国、インドネシアは2億4000万人。アセアン5億人、中国13億人です。
イギリスと同じで、隣国に取り込まれるのは嫌だけど、孤立するのも嫌というスタンスです。
そこで出て来るのが英国連邦です。
一国では、小さいパワーも連携すれば大きなパワーになります。
地理的には分散しているマイナス面もありますが、分散しているので連携すればグローバルネットワークになると言うメリットもあります。
さらに、インド、ナイジェリアなど地域大国の経済的な成長です。
インド、ナイジェリアはイギリス連邦を利用して、経済成長したいし、イギリスなども彼らの成長を取り込んで成長したいとの思惑もあります。
ネットワークを利用して、経済成長したいという意味では、英国連邦内での思惑はほぼ一致しています。
世界の工場は、イギリス→アメリカ→日本→中国と進んで、次はインドですからね。
英語圏が、3つも入っているのですから、世界が英語中心になるわけです。
単独ですと、交渉力がアメリカ優位なので、アメリカに取り込まれるだけですが、英国連邦という形でしたら、アメリカに取り込まれる可能性は減ります。
アメリカ+英国連邦という組み合わせで活動することが今後増えると思います。
【交流ネットワーク】
英国連邦内の太い交流ネットワークは、英国連邦内だけではなく、周辺諸国を巻き込んで太くなります。
独自ネットワークを構築するよりも、既存のネットワークを利用した方が、安いためです。
そのため、早期にネットワークを太くした方が有利になります。
マレーシア・シンガポールなどはアセアンの物流・交通ネットワークハブですが、イギリス連邦の東南アジアでのネットワークのハブでもあります。
そして、さらにグローバルネットワークでもハブになるのを目指しています(既にそうですが)。
【まとめ】
今後は、超大国アメリカ単独だけを見るのではなく、超ネットワークである英国連邦、アメリカ+英国連邦という組み合わせで見ても面白いかもしれない。