映画ブレードランナーのなかで
地球外で作業をする人員が必要となり
ロボットよりも効率がいいとして
人間そっくりの生体ロボットを遺伝子操作して作る
それがレプリカントで外見上は人間と区別がつかない
宇宙での奴隷的な労働に適した精神構造をしているらしい
ある種の感情反応を測定し、その個体がレプリカントであるか否かを見分ける
SFならば話の都合としていくらでも作り出せるが
もう少し科学として、、奴隷労働に適して、人間的には人間そっくりで、
精神的には柔順で自分の境涯に疑問を抱かず仕事を続ける、
そのような個体を作り出せるものかと考える
想定としては『共感反応』に乏しいとなっているようだが
共感反応に乏しい人間が適するのは支配者である
いちいち他者に共感しているような優しい人間は支配者に向かないのは言うまでもない
小国寡民の時代のリーダーは共感能力が必要だっただろうと思うが
大規模な集団を官僚制を用いて支配するには
共感能力ではなく、本質的なところで、個々人の人生を無視し、抽象化してしまえる、
冷酷さと粗雑さと目的第一主義とがあったほうがいい
嘘泣きならいくらでもできるという演技力もあればいい
しかし精密な共感能力は邪魔になる
そして、そのような人間が支配者階級として固定化するので、
今度は、そのような、共感能力にかけた人間の感情回路に共感するような人間が有利になるという
おかしな状況になる
そんな事情があるので、
レプリカントの作り方としては、遺伝子操作でクイックにと言うのは現状では無理、
無共感で冷酷で目的遂行第一主義の個体を選抜して累代培養する
しかしそのような個体は奴隷であるよりも支配者になるだろう
そのあたりに矛盾がある
また判別の仕方で言うと、自分はレプリカントなのか人間なのかと悩んだりするのは
共感能力が過剰なタイプであって
冷酷なタイプは、悩んでもしかたのないことで悩んだりはしないものである
自分が人間であってもレプリカントであっても、自分の欲しいものがあれば手に入れるし、
目標があればそれを達成したいと思うだけである
だからレプリカントは自分がどちらかなどということは悩まない
悩むのは人間であろう
ここでも矛盾がある