利権の確保について

利権の確保について
酒飲みの先輩が酒を飲みながら言っていたので、要約してみる。
地方議会に「ボス」と言われる人達がいるのだが、ボスの権力の源泉がよく分からない。
あるとすれば、選挙の時の公認、票割り、そして一部で陰謀論のように言われている、票の水増しなどだろう。
地方に長く根を張って、いろいろな人と知り合いになり、事業の面でも、公共事業でもその他でも、発注したり、受注したりするようになると、「今回はお宅の方面では誰さんをお願いします」というような、非公式の発令をすることができるようになる。
選挙の時に公認するかどうかは、最近の選挙では大事だろうし、選挙資金を自民党で面倒見るかどうかの違いにもなるので大きい。しかし、公認を、周囲の大方の反対を押し切って出すわけにも行かないはずで、反対している人にはそれなりの「手当」をして、納得してもらわないといけない。
そんなふうな「貸し借り」を延々と続けてくれば、義理と人情の世界が成立して、公的な役職とは関係のない、ネットワークができる。
県議会や市議会では沢山の人が立候補するので、票割りの作業が大事になる。そのあたりも公式の話ではないことが多いので、だんだん個人的な権力に移行してしまう。
最後の票の操作であるが、これは非常にまずい話なので、万が一ばれた場合にも、関係ないと言い切れるように、何重にもクッションを置いている。
そのそれぞれの段階で、敵側に寝返る心配はあるのだから、それを制御するには、やはり、裏の人脈を使うしかないだろうという話になって、そうなると我々素人には空想するしかできない世界である。一票いくらというレートが提示される。しかしそんなことを言われても、ほんとうに何票増えたのか、知ることはできないので、言いなりになるしかない。
そんなわけでいろいろあって、選挙の時に、ボスに頼みに行く人が多いことになる。ボスは総合評価して、今回応援するかどうか、決めるのであるが、その評価の一つはお金である。
現金があれば払ってもらうが、ない場合は、土地を抵当に入れたり、それもない場合は、どうやってお金を作ればいいのかまで指示される。当選した後に、それを返還しないといけない。その現金が再びボスの権力の源泉になる。
この時代、誰もボスのいいようにされているばかりではない。
チャンスがあれば寝首をかこうと、事情をよく知っている側近が、主の座を狙っている。
また、発生する利権を山分けするときにも、悶着が起きる。
例えば、何かの口利きで1億円のリベートが発生したとすると、「民主主義」だから分けないといけない。
たとえば与党6,野党4で構成されていれば、議長の話は抜きにして、6人で分ける。ボスがたくさん取るとして5000とる。あとの5人で5000を分けると一人1000になる。これだと、1億円を10人の議員で分けた時と同じだから、まあまあの線である。しかし、ボスが5000、小ボスが3000とかとなると、のこりの2000を4人で分ける。500になってしまう。1000にしてくれと文句をいう。
ここから「民主主義」が始まる。1000くれないなら、4人で、決議をして自民党の意見を動かしてしまう。自民6だから、自民の過半数を握ればいいわけだ。それは困るので、4人には4000わたして、あとの6000をボスと小ボスで分ける。4000と2000くらいでも、充分にいい商売だ。
こんなことを延々としているから、いつも危険はある。そして与党が大きくなった時に、危機は大きくなる。分配が少なくなるから。そして分配を多くするには、ぎりぎり過半数でいいということも知っているからである。議員数が増えても利権が比例して増えるわけではないのだから、正直、利権のためには、過半数ギリギリがちょうどいいのである。
地方議員にとっては、憲法改正のことなどどうでもいいのだが、ある筋からお金が回ってくることもあって、一応賛成している。するとなぜだか自民党議員が増えてきて、やりにくいことになる。お前は一年生議員だから順番待ちだというようなことを言って、待たせることになる。
そのような新米には、借金もあり、利権のおこぼれも回っても来ず、苦しい時代が続く。二度目で落選したりすると一番苦しい。
新党を作る話も出てくる。上の話で、ボスと小ボスで8000を譲らないとなると、4人は新党結成を考える。民主党とか維新とかそんな感じ。だから。中身は自民党と同じ。待っていても、なかなか順番が回ってこないから、新党のほうがいいと思った人たちである。
外見としては政治信条とか政策の違いということになっているが、少し話を聞いているとでたらめであることがよく分かる。
しかしボスにはボスの言い分もある。ボスの座にたどり着くにも、維持するにも結構経費がかかる。だから、多く集まるが多く出て行く構造が多い。