ずうっと、ずっと、だいすきだよ
I'll Always Love You .
ハンス・ウィルヘルム
Hans Wilhelm.
I was very sad, too, but it helped to remenber that I had told her every night, "I'll always love you."
エルフのことを話します。
エルフは、世界で一番すばらしい犬です。
ぼくたちは、いっしょに大きくなった。
でもエルフのほうが、ずっと早く、大きくなったよ。
ぼくは、エルフのあったかいおなかを、いつも枕にするのが、好きだった。
そして、ぼくらは、いっしょに夢を見た。
兄さんや妹も、エルフのことが大好きだった。でも、エルフは、ぼくの犬だったんだ。
エルフとぼくは、毎日いっしょに遊んだ。
エルフは、リスを追いかけるのが好きで、ママの花壇を掘り返すのが好きだった。
ときどき、エルフが悪さをすると、うちの家族は、すごく怒った。
でも、エルフを叱っていながら、みんなはエルフのこと、大好きだった。
好きなら好きと、言ってやればよかったのに、誰も言ってやらなかった。
言わなくっても分かると思っていたんだね。
いつしか、ときがたっていき、ぼくの背がぐんぐん伸びる間に、エルフは、どんどん太っていった。
エルフは、年をとって、寝ていることが多くなり、散歩を嫌がるようになった。
ぼくはとても心配した。
ぼくたちは、エルフを獣医さんに連れて行った。
でも、獣医さんにも、できることは何もなかった。
「エルフは、年をとったんだよ」
獣医さんは、そう言った。
まもなく、エルフは、階段も上がれなくなった。
でもエルフは、ぼくの部屋で寝なくちゃいけないんだ。
ぼくは、エルフにやわらかい枕をやって、寝る前には、必ず、
「エルフ、ずうっと大好きだよ。」
って、言ってやった。エルフは、きっとわかってくれたよね。
ある朝、目をさますと、エルフが死んでいた。夜の間の死んだんだ。
ぼくたちは、エルフを庭に埋めた。みんな泣いて、肩を抱き合った。
兄さんや妹も、エルフが好きだった。
でも、好きって言ってやらなかった。
ぼくだって、悲しくてたまらなかったけど、いくらか気持ちがラクだった。
だって、毎晩エルフに、
「ずうっと、大好きだよ。」
って、言ってやっていたからね。
となりの子が、子犬をくれると言った。
もらっても、エルフは気にしないって分かっていたけど、ぼくはいらないって言った。
かわりに、ぼくが、エルフのバスケットをあげた。
ぼくより、その子のほうが、バスケットいるもんね。
いつか、ぼくも、ほかの犬を飼うだろうし、仔猫や金魚も飼うだろう。
何を飼っても、毎晩きっと、言ってやるんだ。
「ずうっと、ずっと大好きだよ。」
って。