病気防ぐ夏の水分摂取 少量こまめに、3食しっかり 脱水で心筋梗塞も…塩分忘れずに

熱中症搬送、6588人で今年最多 1~7日
病気防ぐ夏の水分摂取 少量こまめに、3食しっかり
脱水で心筋梗塞も…塩分忘れずに
私たちの体の半分以上は水分だ。水分には水のほか塩分など体を整える大切なミネラルも溶けている。そのため、体内の水分が不足する脱水には注意が必要だ。脱水が進めば熱中症になるだけでなく、思わぬ病気を招くことも。予防するには、三度の食事をしっかり取ることだ。
「実は通常の食事から1日1リットル程度の水分を取っている。暑くて食欲が落ちるとこの分が減り脱水しやすい」
「塩分も失われていることに注意したい」
下痢で脱水したりしたときは、塩分も一緒に失われやすい
 脱水の典型的な症状はめまいや立ちくらみ。水と塩分の不足で内臓や神経系の働きが落ちると起きる。放置すれば、熱中症に進んだり、血液が固まりやすくなって脳梗塞や心筋梗塞を起こしたりと、命にもかかわる。
 ただし初期は、軽いだるさや食欲低下といった「夏バテ」症状が中心で脱水と気づかないことも多い。
「夏になると尿路感染症と尿路結石の患者さんが増える」
脱水でたんの量が減ると肺炎のリスクが高まり、唾液が減ると、口臭や歯周病につながる。
「尿量が減ると色が濃くなることが多い。そんな時は水分摂取を」
脱水対策は、日常的な予防策と脱水に陥った場合に分けて考えよう。予防の基本は食事。3食しっかり取って食事からの水分を確保する。その上で適宜好きな飲み物を飲む。一度にたくさん飲むより、少量ずつ何度も取る方が吸収しやすい。
ただし、ビールは水分にカウントしない。アルコールによる利尿作用で、飲めば飲むほど尿が出て脱水が進む。「ビールをおいしくするために水分を我慢する」のは論外。「暑い日に飲むなら、つまみもしっかり食べ、食物からも水分を補給して」
水と塩分を素早く取れる「経口補水液」が理想的だ。薬局やドラッグストアで手に入るので何本か常備しておこう。意識がハッキリせず、経口補水液も飲めないようなら一刻も早く救急車を呼ぶ。
「体の中で水分を多く含む臓器といえば、脳、消化器、筋肉の3つ」と谷口氏。水分量が多いだけに脱水になるとダメージも大きい。脳がダメージを受けるとめまいや立ちくらみが、消化器なら食欲不振や吐き気、筋肉の場合は筋肉痛やこむら返りなどが起きる。
 「高齢者が脱水になりやすい理由の一つは、筋肉の衰え」