「政務にまい進する」

これだけの問題を引き起こしてしまうと、議会でも記者会見でも本来の政務についての説明の時間などまったくとれず、終始、釈明に貴重な時間がとられてしまうことになる。
つまり知事が辞任しないかぎりは政務にならないのだが、その知事が「政務にまい進する」と前向きな発言ばかりするというのが、一般人にはわかりにくいことらしい。
この「政務にまい進する」という言葉にはふたつの意味がある。
ひとつは「政務にまい進したいから、もうこれ以上追及の話は無し」という知事の願望である。これは非常に便利な断りの言葉で、これから先、いろいろなマスコミがさらなる追及をしようにも「政務にまい進させてくれ」と言って疑惑の追及を断ることができることが期待できる。
これは応用としては「政務なんて全然していないじゃないか?」という追及がきても「私は政務にまい進すると言っているのに、私に政務をさせてくれないのはあなたがたではないですか」と逆に追及することができるようになるという点でも便利な言葉である。
そしてこの言葉のもうひとつの意味は「では、海外出張に行ってきます」という意味でもある。
東京都知事のこの先の重要な政務のひとつが、リオ五輪に出かけてリオデジャネイロ市長から、次の五輪へのさまざまなバトンを受け取ることだ。特に閉会式では東京都知事の出席は政務として必須である。
このような大切な政務であるから、リオでもさまざまな関係者と機動的に会談するために宿泊先は会議スペースを3つぐらい備えたエグゼクティブスイートルームが必要だろうし、往復の航空機も警備を考えれば安全なファーストクラスで飛ぶべきである。