「第三者機関」「弁護士を雇って、いい説明の仕方を考えてもらっている」というのが実態

疑惑が大きくなってきた企業などでよく「内部調査をきちんと行っている」と説明することがあるが、そのことで世論が受ける印象は「疑惑の本体が身内で調査をしても、その結果を信じられるわけがないじゃないか」という反応になる。
そこで編み出されたのが「第三者機関」という便利な言葉である。今回の場合、舛添知事が第三者と呼んでいたのは、舛添知事が自費で雇った弁護士ふたりである。つまり「弁護士を雇って、いい説明の仕方を考えてもらっている」というのが実態なのだが、そうストレートに発表してしまうと自分で内部調査をしているのと大差ない印象を与えてしまう。だから当初、舛添知事は「第三者機関の厳しい目」という言い回しを使ったのである。
舛添知事の優秀なところは、このようにちゃんと考えればすぐに正確な表現ではないことが露呈する言い回しも、短期決戦であれば通用すると読み切った点だ。
?「第三者機関の厳しい目で」と繰り返し同じことばかり繰り返したことで、マスコミ紙面はこの日、「第三者機関が調査」という舛添知事の言葉で一時的に埋め尽くされた。
その上で、後で「第三者」という言い方を撤回したが、その頃にはまるで自分が雇った弁護士軍団が第三者であるかのような印象を、世間に対して与えることに成功していたのである。