警察からの照会電話がたびたびかかってくる職場で働いていたことがある。
警察からの照会だからこたえることが許される、あるいはこたえなければならない照会が多かったのだが、必ず守らなければならないルールがあった。
それは、その電話ではこたえず、一旦、電話を切ることだった。その後、ネットなりで警察本部や警察署の代表番号を調べて、回答の電話をかけるのだ。それはもちろん、警察をかたる電話を警戒してのことだが、この警察からの問い合わせへの回答ルールには続きがあった。
問い合わせ電話の担当を把握していても、その人物を電話口に呼び出さず、「こういう照会があったのですが、担当者を失念しました。問い合わせされたのはどなたですか」というのだ。これは、照会者が真正な警察官であっても、公務でない照会をしていることを恐れるためだ。乱暴な要約をすれば、悪徳警官でないかを心配しているということだ。前段の警察の代表番号にかけ直すという方法は、ミステリーなどで何度か、読んだことがあるが、後段の方法は読んだことがない。私のいた職場でのオリジナルなノウハウだったのかも知れない。
いずれにせよ、強い力はそれだけ、警戒を要するものなのだ、と思わされた経験だった。