何事も望むのに遅すぎるということはない
「ああ、もっと勉強しておけばよかった」というのは、怠け者の言い訳である。だったら、勉強すればよい。
昔いくら勉強したとしても、もういまは勉強しないというなら、大して価値はなかろう。過去を頼みにするのは、過去を嘆くのと同じぐらいばかなことだ。
なってしまったことはそれとして受け入れ、何とか埋め合わせをするのがいちばんよい。挽回しようともしないのがいちばんよくない。私は、幸運に乗るのは不運に従うよりむずかしいとさえ考えている。妖精に祝福されて生まれたような人は、用心した方がいい。
ミケランジェロで偉大なのは、天賦の才能をさらに鍛え、たやすい人生を自ら困難なものにしたあの猛々しい意志ではないだろうか。自己満足とは無縁で、髪が真っ白になってからも学ぶために学校に行ったという。だから、心を決めかねている人たちに言おう。何事も望むのに遅すぎるということはない。
アラン「幸福論」