<権力監視が最大の使命>
新聞テレビの使命・任務は、権力監視に尽きる。ここが正常に機能しなくなると、独裁政治が表面化して、国民を危険な状態に追い込む。ここ3年の日本政治が、極右の政府与党に牛耳られ、日本とアジアに春雷を連発させている。その震源地が、極右の秘密結社・日本会議である。宗教右翼・カルト教団の天皇イデオロギーを武器にしている。周辺に暴力装置を備えて、言論の自由にも牙を向ける。世界に誇れる日本国憲法の破壊を目的にしているため、日本にとって、新聞の権力監視が何よりも必要不可欠の時といっていい。
<民主主義レベルの測定器>
権力は暴走する。これの抑制手段が議会と言論である。この二つが正常である限り、民主主義は正常に機能、結果、国民の権利は守られて生活は安定する。
不幸にして、日本の現状はというと、民主主義は劣化して久しい。特にこの3年余の自公政権は悪辣といっていい。日本国憲法を破壊する政権だからである。先進国のはずだが、民主主義のレベルは相当低下してしまっている。
首相側近の極右女性大臣が、テレビ電波の許認可権を武器に、国民のための電波権を悪用する姿勢を見せている。言論の自由への公然たる挑戦である。水面下では、政府も批判するジャーナリストを、次々とテレビから引きずり下ろしている。
<言論の自由が劣化した戦後70年>
官邸による新聞テレビ弾圧は、いま正に露骨を極めている。「日本は民主主義が崩壊した」と悲鳴を上げる学者・文化人も少なく無い。現在の政権は戦後最悪である。言論弾圧政権の下で、独裁政治を開花させてきている。
その極め付きが、特定秘密保護法・戦争法・TPP署名などである。日本国民は、戦後70年にして、日本会議の路線の上を無理やりに走らされている。それに抵抗しない新聞テレビが、日本とアジアを危機に陥れている。
<言論の自由度NO1は日刊ゲンダイ>
全く言論の自由が消えたわけではない。夕刊紙「日刊ゲンダイ」は踏ん張りを見せている。ここの記者・編集人は、本来のジャーナリズムに徹して、政府の悪政と戦っている。
サラリーマンの多い首都圏・名古屋圏・大阪圏・福岡圏・札幌圏などで、国民の怒りを代弁している。最近は外国の特派員必読新聞になっている。
<第2位の東京新聞>
筆者が問題の「日本会議」の存在に気付いたのは、東京新聞がこれを大きく報道したからだ。おそらく最初に報道した新聞なのであろう。親類に同紙を購読している者がいる。そこの主の政治感覚は、まともで今の政治に厳しい目を向けている。
悲しいかな、東京新聞は首都圏と名古屋圏が中心である。むろん、日刊ゲンダイも東京新聞も、財閥からの広告出稿を抑え込まれている。財閥に抗している現場は、それでも自粛して記事を書いているありさまだ。
<急浮上した朝日新聞>
右翼暴力団の銃弾と従軍慰安婦報道のミスで、さんざん叩かれてきた朝日新聞は、それゆえに政府批判を抑制するようになってしまった。権力に屈した朝日新聞である。
かの徳洲会疑獄でさえも、真正面から記事にできない無批判新聞に成り下がってしまった。「朝日の読売化」である。これに失望した読者は、次々と購読を止めた。社説1本が100万円、150万円という話を、その筋から聞かされて驚愕したものだ。
これでは権力批判の記事は書けない。その点、筆者が働いてきた東京タイムズは、給与は雀の涙、おかげで年金額は公務員のそれの半分である。生活のためにアルバイトの原稿を書きまくって家庭を支えてきた。
その分、ペン先は鋭かった。大平内閣のころだ。「首相は真っ先に東京タイムズを開く」と言われたものである。今の官邸は、日刊ゲンダイと東京新聞のはずだ。今回、朝日の日本会議大特集で官邸は驚愕、覚醒した朝日と思いたい。
<読売は右翼政権擁護の改憲軍拡原発新聞>
改憲軍拡原発推進新聞で勇名をはせる読売を知らない日本人は、今ではいないだろう。それでいてなぜ新聞発行部数が一番なのか。秘密は販売力にある。販売工作に資金を投入してきた。
政府機関や地方政府機関とも連携して、販売部数を維持する。医師会など団体組織とも。もう一つが野球である。「強い巨人軍」による野球好きを読者に抱え込むことで、朝日を抜いてしまった。
いま巨人軍の「覚せい剤・ばくち」まみれが表面化している。清原事件は氷山の一角に過ぎなかった。さしものナベツネも、これには弁解できずに落下した。部数の落ち込みは、今後も続くことになろう。
<テレビは沈没・内閣支持率を支える理由>
安倍内閣の悪しき戦果は、NHKを抑え込むことに成功したことだ。これは大きい。公共放送を安倍チャンネルに大改造したことが、内閣支持率の低下を抑えている。世論調査はNHKをよく見る高齢者が対象だからだ。
民放は、目下の首相側近大臣の暴走発言で委縮、まともなキャスターを降ろしてしまった。国民を裏切るテレビに落下して久しい。朝日奮起の時だ。