実は、14年に大飯原発の運転差し止め決定を下したのも福井地裁の樋口裁判長だったが、高浜の差し止め申請の審理が昨年3月11日に終了した直後、裁判所は4月1日付で名古屋家裁に異動させる人事を発動した。高裁ならまだしも、家裁への異動。左遷とみられても仕方がない。それでも樋口裁判長は「職務代行辞令」を利用して、異動後も審議を担当し、再稼働を差し止める仮処分を決定した。ただ、異議申し立ての審議に関わることはできなかった。
高浜差し止めも辺野古和解も単なるガス抜き
「原子力ムラに歯向かうとこうなるという見せしめでしょう。そういう懲罰人事を見ていれば、ますます裁判官は政府にとって不利になる判断を下しづらくなる。それに、実は判事や検事が、原発メーカーや電力会社に天下りした例も数多いのです。信念を持った裁判官は一握りで、正義や国民の安全より、権力の顔色をうかがう方が大事。出世や保身を第一に考える裁判官だらけなのが問題です。しかも、上級審になるほどヒラメ裁判官ばかりで、権力に都合のいい判断を下そうとする。自民党政権との長年の癒着があるから、最高裁は違憲判決なんて絶対に出さない。政権交代しないかぎり、司法と政治の闇にメスを入れることはできません」