周知のように、ジャパンハンドラーというのは、アメリカの政財界の意向を受けて、日本をコントロールする“任務”を帯びた超党派の知日勢力のことだ。CSIS(米戦略国際問題研究所)などの在米シンクタンク研究員や、大学教授になっている政府機関出身者たちが中心になっており、その立場を利用して日本の政治家やマスコミに接近して、ロビイング活動を行っている。
代表的なのは、リチャード・リー・アーミテージ米元国務副長官とジョセフ・ナイ元国防次官補。集団的自衛権容認、安保法制、特定秘密保護法、TPP参加、武器輸出三原則の緩和など、安倍政権の政策はこの2人が2012年に発表した「第3次アーミテージ・ナイリポート」にのっとっていることが指摘されている。
このジャパンハンドラーの中に、今回、「正論大賞」を受賞した元米国防総省日本部長のジェームス・E・アワー氏が含まれているのは有名な話で、孫崎享・元外務省国際情報局局長が名指ししたのをはじめ、ジャパンハンドラーを解説した複数の書籍や雑誌に、アワー氏の名前が出てくる。
実際、アワー氏はこの間、安倍政権にアーミテージ・ナイリポートと同様の“日本政府は集団的自衛権行使を可能にし、軍備増強して東アジアにおける抑止力となれ”と働きかけてきた。
かつてジョセフ・ナイがアメリカ議会議員のために書いた対日戦略会議の報告書が漏洩したことがあった。そこには、アメリカが東シナ海に眠る石油、天然ガスなどのエネルギー資源を手に入れるためには、日本と中国を戦争させ、日中戦争が激化したところでアメリカが和平交渉に介入し、東シナ海、日本海の平和維持活動(PKO)を米軍が中心になって行う──という“作戦”が開陳されていた。