アメリカの不法移民問題

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不法移民の問題があります。これは、地続きの国境がない日本人にとっては実感のわかない問題だと思いますが、実はアメリカにとって、既存の社会システムを内側から崩壊させかねない重大問題です。
国境を越えてくる不法移民達は、不法であるがために社会システム外に生きています。徴税の対象外であり、健康保険、車両保険もない。当然、無免許運転です。
私の住む州では、人道的配慮から、保険のない患者も、緊急病棟で診察してくれます。さて、その無保険者に対する医療費は誰が負担しているのか。私たち保険加入者です。アメリカの医療保険は、物価上昇率からはるかにかけはなれたカーブで急上昇を続けているのですが、その一因は、こうした無保険者に対する医療負担と言われてます。当然、高額になった保険を自前で払える人はそういません。これがさらに無保険者増加に拍車をかけます。車両保険も然り。不法移民は、通常車両保険など持ちませんから、こうしたドライバー相手に事故を起こされても請求できません。なので、アメリカの車両保険には、対無保険者の事故もカバーする特約がついてます。つまり、不法移民が本来払うはずの保険料も、私たちが払っているわけです。
親が不法移民であっても、子供は公立学校に通い、低所得者のためのランチプログラムを受けています。このランチだって、結局私たちの税金です。
しかも、摩訶不思議なことに、社会システム外に生きている彼らも、アメリカの社会福祉はちゃんと受けられるのです。(他州は違うかもしれませんが。)
以前、レストランで働く男がネットで、職場で働く不法移民の報酬と、自分の報酬を具体的な数字をあげ、比較していました。勿論、時給は彼の方が高い。しかし、税金、保険等を差し引くと、結局、手取りは不法移民の方が高い、と。
トランプの暴言の背景には、これらアメリカ人の不法移民に対する鬱憤と、社会システム崩壊への危機感があるのです。
これらは、不法移民が悪いというより、実は、こうした問題を放置してきた政治の問題なのです。アメリカも、汚い、きつい、危険職種の人手不足は深刻で、こうした仕事をいとわない不法移民はアメリカ経済にはもはや欠くことのできない存在なのです。
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