何もしていない安静時にも脳は活動しており、この何もしない状態の脳活動は、何ヵ所かの脳の領域から構成されたネットワークで、「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」と呼ばれています。DMNの日本語訳はまだありません。DMNは自動車で例えれば、停車していてもいつでも発進できるようにエンジンを停止させないでおくスタンバイ状態あるいはアイドリング状態と言えます。
自動車の発進の場合のように、これから考えて何かを行おうとする場合の備えとして、重要な役割を果たしていると考えられます。また、DMNは「社会脳」と言われている前頭葉を中心とした領域と重なっていることも分かってきました。この社会脳は「他者の理解」や「自己の理解」に関わる部分です。
人間の脳は「課題や目標のはっきりした仕事をこなす」ためのネットワークと、「他者の理解や自己の理解をする」ためのネットワ-ク(DMN)持っている
認知症の主たる原因であるアルツハイマー病の場合に顕著に萎縮する脳の場所とDMNの場所が重なっている