人生早期に獲得された行動パターンが人生を通じて反復される
というお話には
少しだけ修正を加えることもできて
大枠では反復されるけれど
少しずつ状況に合わせて修正されるという側面もある
少しずつだから多重人格みたいにならないですんでいる
軽い退行が起こっても大枠が一定ならば
あまり違和感はない
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たとえばぬいぐるみを抱いて動物園に行き、象さんをみせて
すごいねーなどと言っている人がいる
またたとえば愛犬を動物園に連れて行って象を見せてすごいねーと声を上げている人もいる
同じことを自分の子どもにもしている
こう並べてみると多分こうした行動は後天的な獲得されたというよりは
先天的に脳に行動パターンとして書きこまれていたものだろうと思う
このタイプの行動と後天的に獲得された行動パターンとを比較検討するのも意義がある
先天的な行動であれば訂正するとか書きなおすというよりは
状況に合わせてアレンジするということになるのだろう
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後天的だけれども強い書き込みが起こるのは
学習理論でよく説明されている
脳の可塑性が部分的に一時的に高まる現象である
たとえば動物が自分の母親を認識する回路が挙げられる
それは一生に一度きりの強い学習である
生まれて早い時期に目が二つあってこちらに感心を持って見ているような生き物がいたら
それがお母さんだと学習する
以後、その行動を模倣するようになる
強い学習であるから後から書き換えようとしてもうまくはいかない
そこが学習理論の難しいところで
認知療法の難しさはそこにもある
個人的には薬剤で脳の可塑性を調整して、そこで再学習させる方法を好んでいる
plasticityの調整のために薬剤を使用するので症状をターゲットにして使うのではない