駆け落ち

"昔は駆け落ちというものがあった
いまは世間がゆるゆるなので
別に駆け落ちしなくても勝手に一緒に住めばいいだけだ
別れるのも勝手である
ゆるい

親とか職場とか隣近所とか、一応気にはするだろう
親は反対することがあるかもしれないが
それにしても、誰が好きで誰と結婚しようと、特に反対も出ないだろう

既婚者の場合でも、家を出て別の誰かと一緒に暮らすことは特に難しくはないだろう

法律上のパートナーが会社に来て騒ぐかもしれないが
ただ騒ぐだけでおしまいだろう

昔はどうしても越えられない世間のしがらみというものがあった
義理があるけれども、恋心を抑えられない
駆け落ちをして、うまく行けば生きていられるが、そうでなければ心中ということになる
そうした状況でこそ、本当に好きなのか、どれほど好きなのかと、問いなおす契機になる
駆け落ちしても一緒になりたい、心中してもあの世で一緒になりたいと思う、
その、妄想とほぼ見分けのつかない思い込みに没入できる幸せ

あるいはすでに精神病状態
"