ドイツの作曲家ワーグナーは,片頭痛持ちであったことが知られており,閃輝暗点を示唆する手紙なども遺されている.彼の楽劇「ニーベルングの指環にはその影響が認められるとの報告.一例として,第2夜「ジークフリートの第1幕第3場で,登場人物のミーメが“Loathsome light!”と歌う場面に注目.4分の2拍子で弦楽器のパートは1小節に16個の32分音符を弾いており,このリズムは120 bpmで16 Hzに相当していた.これは閃輝暗点における光のちらつきの周波数に近く,自身の経験を作曲に反映させていた可能性があるものと考えられた.