自閉症児では神経の数が多い
Autistic Children Have More Neurons
自閉症児は大頭症(脳容積・頭囲の増大)を伴うが(Neurology 2002; 59:175など)、神経細胞およびグリア細胞の数も同様に増加するのかはわかっていない。本論文の著者、Courchesneらは自閉症男児7例と対照群となる正常男児6例(年齢範囲:2~16歳)の剖検により病理組織学的な検討を行った。脳検体の背外側前頭前野(DLPFC)・内側前頭前野(mPFC)は立体的細胞計数法に適した状態であった。死亡原因は、脳の大きさや神経細胞数の増加との関連が報告されていない疾患や状態(訳注:事故など)であった。自閉症の重症度は、研究者らが剖検後に親に行った標準化面接により確認しており、知的障害から言語機能障害までと広範囲であった(1例は生存中に自閉症と診断されていた)。解析では神経細胞およびグリア細胞の数について2群間で比較が行われた。
自閉症児群ではDLPFCおよびmPFCの神経細胞数の平均が対照群に比べ67%多かった(DLPFC:79%、mPFC:29%)。年齢で標準化した脳重量平均と比較し、自閉症児群における脳重量は有意差をもって17.6%高く、対照群では0.2%高かった。神経細胞数と脳重量の直線的な関係が対照群のみに認められた。グリア細胞数に関しては両群間に有意差がなかった。
コメント
神経の成長・発達は通常、妊娠前期で完了するため、今回の結果は、臨床的に明らかでなくても自閉症は出生時に存在している、という説を支持するものである。したがってこれらの知見は、その後の障害を軽減するのに有効と思われる介入をできるだけ早期に開始することが必要であるという見解(JW Psychiatry Jun 21 2010)の裏付けとなる。さらに、環境要因が自閉症の危険因子である可能性が最近指摘されており、予防的な取り組みが必要であるという見解(JW Psychiatry Aug 15 2011、Aug 29 2011)を強く支持するものである。これらの知見と、悪化や退行、発達の停滞といった自閉症の異なる臨床経過(JW Psychiatry Jun 27 2011)との関連性の解明が今後の研究課題である。
—Barbara Geller, MD
掲載:Journal Watch Psychiatry December 5, 2011